研究課題/領域番号 |
15K10047
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
小山 諭 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10323966)
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研究分担者 |
諸 和樹 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (10745566)
永橋 昌幸 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (30743918)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
三浦 宏平 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (70733658)
小杉 伸一 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任教授 (90401736)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | カルニチン / 脂肪乳剤 / タンパク代謝 / インスリン抵抗性 / 末梢静脈栄養 / RTP / RBP |
研究実績の概要 |
申請者らは、手術侵襲に伴う異化亢進による蛋白喪失を軽減し早期回復を目指すためには、末梢静脈栄養において非蛋白カロリー/窒素比を上げ、またインスリン抵抗性を軽減することが有効と考えた。そこで、術後のアミノ酸加糖電解質輸液に加え、脂肪乳剤ならびにL-カルニチン投与を投与による脂肪酸β酸化促進が有効であるとの仮説を立てた。平成27年度の研究計画として消化器外科周術期患者を対象とし、(1)術後4~5日間末梢静脈栄養を要する患者をGroup N:アミノ酸加等電解質輸液投与を行うが,脂肪乳剤投与を行わない群、Group L:アミノ酸加等電解質輸液に加え、脂肪乳剤投与を行う群、Group LC:アミノ酸加等電解質輸液に加え、脂肪乳剤およびL-カルニチン投与を行う群に分けた。(2)これら3群間で、周術期血液生化学検査、タンパク動態、インスリン抵抗性などの項目について、周術期の変化を比較した。タンパク動態ではrapid turnover protein (RTP)であるレチノール結合タンパク (RBP)は、Group LCがGroup Nよりも高値で推移している傾向を認めた(Bonferroni検定:P = 0.062, Turkey検定P = 0.049)。また、インスリン抵抗性を示すHOMA-R指数は、有意差には至らなかったがGroup LCで低値を示し、最も変動が少なかった。これらの結果から、周術期末梢静脈栄養の際、脂肪乳剤およびカルニチン投与はタンパク代謝を改善し、インスリン抵抗性を減少させることが示唆された。 (3)登録症例数が少ないことが、3群間での有意差に至っていない理由としてあげられるため,平成28年度は症例数を追加してさらに検討を進めていく予定である。(4)平成28年度以降は、タンパク動態およびインスリン抵抗性の改善に効果的な脂肪乳剤投与量についても検討を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
症例登録数が若干不足している。しかし、これまでの結果から、周術期末梢静脈栄養の際、脂肪乳剤およびカルニチン投与はタンパク代謝を改善し、インスリン抵抗性を減少させる可能性が示されており、途中経過報告として学会発表を予定しており、また、論文化に向けて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
周術期末梢静脈栄養における、脂肪乳剤およびカルニチン投与によるタンパク代謝、インスリン抵抗性改善効果について、日本外科代謝栄養学会(2016年7月、東京)での発表を予定している。研究費は、解析に用いる試薬や消耗品、学会発表にかかる費用、英文論文にかかる費用に使用する予定としている。平成28年度以降は、脂肪乳剤の投与量の違いによるタンパク動態およびインスリン抵抗性の改善効果の相違についても検討を行い、より効果的な脂肪乳剤投与量についても検討を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例登録数が若干不足していたため、予算が繰越となった。また、次年度はさらに、脂肪乳剤の投与量の違いによるタンパク動態およびインスリン抵抗性の改善効果の相違についても解析を進めていく予定であり、そのためにも予算が繰越となった。
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次年度使用額の使用計画 |
解析に用いる試薬や消耗品の購入、学会旅費、英文論文校正費などに使用する予定である。平成28年度は日本外科代謝栄養学会(2016年7月、東京)での発表を予定しており、さらに英文論文化の予定を立てている。
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