研究課題
申請者らは、手術侵襲に伴う異化亢進による蛋白喪失を軽減し早期回復を目指すためには、術後早期からの栄養管理が重要であり、末梢静脈栄養において術後のアミノ酸加糖電解質輸液に加え、脂肪乳剤ならびにL-カルニチン投与を投与することにより、ミトコンドリア内での脂肪酸β酸化を促進することが有効であるとの仮説を立て、これを証明することを研究目的とした。平成27年度は、消化器外科周術期患者を対象とし,術後第1病日から術後4~5日間末梢静脈栄養術後末梢静脈栄養を行ったGroup N:アミノ酸加等電解質輸液投与を行うが,脂肪乳剤投与を行わない群、Group L:アミノ酸加等電解質輸液に加え、脂肪乳剤投与を行う群、Group LC:アミノ酸加等電解質輸液に加え、脂肪乳剤およびL-カルニチン投与を行う群に分けた。これらの3群間の比較ではアルブミンの変動は3群間で差を認めなかったが、レチノール結合タンパク (RBP)では、Group LCがGroup Nよりも高値で推移している傾向を認めた(P = 0.062)。平成28年度は、Group L群とGroup LC群で検討し、RBPはGroup LCがGroup Lよりも高値で推移している傾向を認め(P=0.054)、第7病日ではGroup LC が有意に高値を呈した(P=0.008)。平成29年度は、最終的にGroup L(8例)、Group LC(8例)での比較・検討を行った。血清カルニチン値は第3病日および第7病日Group LCでGroup Lよりも有意に高値であった(P<0.05)。第3~7病日におけるCRPはGroup LCがGroup Lに比し有意に低下していた(P<0.05)。以上の結果から、周術期末梢静脈栄養において、脂肪乳剤に加えL-カルニチン投与は術後の炎症反応からの離脱に有用な可能性がある、と結論した。
すべて 2017
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Journal of Clinical Medicine Research
巻: 9 ページ: 831-837
10.14740/jocmr3113w.