研究課題
BRCA1 5382insC変異は、多くの乳癌・卵巣癌において認められる。この変異を内在性にもつHCC1937細胞において、変異の存在するエキソン20をスキップさせることができれば、コドンのフレームを修正でき、治療につながると考えられる。スプライシング是正化合物のTG003,SRPIN340添加によるエクソン・スキップ誘導を試みたが、エキソン20のスキップを認めなかった。エキソン・スキップを確実に行うため、スプライス・スイッチ・オリゴの使用を検討している。TG003は、exon 20のスキップを認めなかったが、mRNAレベルにおいてBRCA1の発現の上昇を認めた。この現象は、分化したC2C12筋肉細胞のRNA-seqデータにおいても認められ、スプライシングよりもBRCA1遺伝子の転写量に関係している可能性がある。TG003はSR蛋白質のリン酸化を阻害するが、SR蛋白質が転写や3’末端プロセッシングを制御する報告があり、この原因を追究している。
3: やや遅れている
代表的なスプライシング是正化合物TG003やSRPIN340では、エキソン・スキッピングを認めなかった。当初の計画では、この場合、新たなスプライシング是正化合物をスクリーニング予定であったが、より確実で特異性の高いスプライス・スイッチ・オリゴの使用を検討している。
スプライス・スイッチ・オリゴによるBRCA1 5382insC変異を認めるエキソン20のスキップを試みて、BRCA1蛋白質の発現への影響、HCC1937細胞の癌増殖進展に対する影響を検討する。また、TG003がBRCA1のスプライシング以外の段階で発現を調節している可能性がある、という興味深い結果を得たので、他の乳癌細胞への影響を調べ報告したいと考えている。
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