研究実績の概要 |
術前化学療法を施行した88症例における乳癌手術の際に摘出された115個のセンチネルリンパ節あるいは185個のノンセンチネルリンパ節(腋窩リンパ節郭清にて得られたリンパ節)を4分割し、交互に2切片ずつOSNA法による転移検索と通常の病理診断による転移検索を行った。その結果、すべてのリンパ節における通常の病理診断を基準にしたOSNA法の精度を検討した。OSNA法は転移診断におけるcut-off値は、従来の報告(術前化学療法を行っていない症例におけるcut-off値、+:250以上、++:5000以上を用いた)。その結果、全リンパ節のおける転移診断精度は正診率、感度、特異度はそれぞれ92.3%, 88.5%, 93.3 %であった。一方、センチネルリンパ節に限った正診率、感度、特異度は87.8%,75.0%,91.2%であり、ノンセンチネルリンパ節に限った場合はそれぞれ95.1%,97.3%,94.6%であり、OSNA法の精度はセンチネルリンパ節がノンセンチネルリンパ節に比べて劣る結果であった。特に微小転移の感度の低いために転移全体が低くなっていた。リンパ節転移におけるCK-19mRNAの発現がセンチネルリンパ節ではノンセンチネルリンパ節に比べ有意に低下していることがmRNA in situ hybridizationによって明らかにされた。
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