研究実績の概要 |
Immune checkpointはT細胞の活性化を抑制し、腫瘍の免疫逃避において重要な役割を果たす。HER2シグナルはimmune checkpoint発現を支配しており、HER2陽性乳癌では腫瘍免疫に対しての逃避機構が成立している可能性がある。HER2陽性乳癌における腫瘍免疫逃避機構の機序を明らかとして、HER2陽性乳癌に対する腫瘍免疫療法を開発する。 腫瘍免疫抑制においてTreg細胞が重要な役割を果たすことが報告されている(Shimon Sakaguchi, Nature Review 2014, Hiroyoshi Nishikawa, Int J Cancer 2010)。Tregの詳細な機能解析としてflow cytometryを用いた複数分子マーカーの評価による分類方法が確立しており、これまでに大腸癌やmelanomaを対象とした研究においてTreg機能解析の意義が報告されている(Yuka Maeda, Science 2014)。一方、乳癌におけるTregの詳細な機能解析は未だ報告されておらずその意義は明らかとされていない。そこで本研究において腫瘍免疫において重要な役割を果たすTregの乳癌組織における機能解析を行うこととした。 平成27年度は、乳癌臨床検体から腫瘍浸潤リンパ球(tumor infiltrating lymphocyte: TIL)を分離・回収し、flow cytometryによるTILにおけるTregの機能解析方法を確立するべく研究を進めた。乳癌組織からのTIL分離・採取は通常の細断やメッシュを用いた方法では困難であるため、gentle MACS dissociator&を購入した。gentle MACS dissociatorにより回収した細胞を対象に、CD3,4,8,25,45RA,F OXP3,PD-1を染色しフローサイトを行いTILにおけるTreg細胞や腫瘍免疫細胞におけるimmunocheckpoint発現の解析の実験手技を確立するべく研究を進行している。
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