研究実績の概要 |
①乳癌臨床検体を用いたRegulatory T cell(Treg)発現解析と、Treg発現と臨床病理学的因子との相関および術前化学療法における効果予測因子としての意義の検討 乳癌臨床検体として針生検または手術標本から、gentle MACS dissociatorを用いて腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を分離・回収し、CD3, 4, 8, 25, 45RA, FOXP3蛍光抗体を用いたflow cytometryによるTregの機能解析を施行した。原発性乳癌84症例の検討結果、乳癌組織においては免疫抑制に対して強力な作用をしめる機能的TregであるFrIIの分画がnaïve Treg(FrI)およびnon Treg(FrIII)よりも多く認められることが確認された。FrII分画と臨床病理学的因子との相関では、T2症例、リンパ節転移陽性症例および高増殖能乳癌においてFrII分画の割合が高い傾向にある所見を認めた。術前化学療法が施行された症例での検討では病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった症例(non pCR)ではpCR症例に比べて高いFrII分画を認め、HER2陽性乳癌においても同様の結果を認めた。 ②乳癌組織におけるimmunocheck point markerであるPD-L1発現の半定量的免疫組織学的検査による評価 HER2陽性乳癌におけるPD-L1発現を、全自動染色システム(ベンタナ ベンチマーク ULTRA)および自動画像解析ソフトとバーチャルマイクロスコピー(Hamamatsu Photonics)を用いた半定量的免疫組織学的検査により評価した。10%および1%をcut-offとした場合、PD-L1発現陽性症例の割合は10%、40%であり、これまでの報告と同等の結果が得られた。陽性率および過去の報告から1%をcut-off とした場合、PD-L1陽性は腫瘍径、高増殖能およびTIL陽性と相関する傾向を認めた。
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