我々は胃癌症例の約20%に糖鎖抗原MECA-79が異所性に発現し、予後に関連することを報告した。本研究では、MECA-79の乳癌における臨床的、生物学的意義について、手術検体および培養細胞株を用いて、主に免疫組織学的検討やフローサイトメトリー等により検討した。胃癌・大腸癌などの消化器癌に比べ、乳癌組織におけるMECA-79発現陽率は5%程度と非常に低く、臨床病理学的因子や予後との関連は認められなかった。乳癌細胞株はいずれも細胞表面にMECA-79発現を認めなかった。乳癌における異所性MECA-79発現の意義は不明でありさらなる検討を要する。
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