研究課題
アロマターゼ阻害剤による内分泌療法により、癌細胞にオートファジーが誘導され、さらに治療前に間質のオートファジーが誘導されている症例では、癌細胞が高増殖能を示し、臨床的にも病理学的にも治療反応性が低いことにつき報告し、論文化した(Ueno T et al. BMC Cancer. 2016;16(1):230)。術前化学内分泌療法(アロマターゼ阻害剤+経口エンドキサン)の臨床試験サンプルを用い、治療前後におけるオートファジーの変化、アポトーシスの変化につき解析した。またER, PgR, Ki67の共染色により、それぞれのマーカー相互間の発現の関連性につき解析した。すでに終了した臨床試験(JFMC34)の検体を用いてオートファジーが誘導されることを見出したが、それが細胞生存、細胞死のどちらに関与しているかを調べるため、オートファジーの誘導と生存期間の関連につき解析した。以上の結果を細胞レベルで確認し、さらにそのメカニズムを明らかにするため、両面培養可能なcollagenスポンジ(Atelocollagen)を用いた培養系を確立し、報告した(Biomed Res Int. 2015;2015:960840)。乳癌細胞と線維芽細胞を用いた両面の共培養システムを用い、ホルモン枯渇に対する治療反応性の変化や、線維芽細胞にオートファジーを誘導した場合の癌細胞の治療反応性の変化につき、現在検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
臨床試験の検体を用いた解析については、予定通り検体の回収が進み、また染色等の解析についてもおおむね予定通り進んでいる。予後との関連については、予後調査がほぼ予定通り進み、現在解析を行っている。細胞培養に関しては、培養系に関する論文が完成し、またその培養系を用いた実験が現在予定通り進行している。
臨床試験サンプルを用いた検討では、各臨床試験のサンプル数に限りがあるため、同様の術前内分泌療法を行った臨床試験のサンプルを収集し、より意義の高い臨床データとすることを目指す。細胞培養においては、条件検討など初期の検討に時間がかかるため、同様の研究を中心に行っているラボと共同研究体制を組み、よりスムースにシステムの構築が進む様にする。
細胞培養につきシステムを確立した段階のため試薬等が最小限の支出であったが、今後試薬等の費用が発生するため。論文掲載料につき請求の時期がずれており、掲載料の請求が次年度になっているため。
細胞培養試薬論文掲載料の支払い
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
BMC Cancer
巻: 16 ページ: 230
10.1186/s12885-016-2270-9.
Biomed Res Int.
巻: 2015 ページ: 960840
10.1155/2015/960840