研究課題/領域番号 |
15K10075
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研究機関 | 桐蔭横浜大学 |
研究代表者 |
奥井 理予 桐蔭横浜大学, 先端医用工学センター, 講師 (20327654)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PARP阻害剤 / microRNA |
研究実績の概要 |
BRCA1/2は、二本鎖DNAの修復に重要な役割を果たす遺伝子である。BRCA1/2遺伝子に変異を有する患者では、乳癌や卵巣癌の発症率が高く、トリプルネガティブ乳癌 (TNBC) や遺伝性乳癌卵巣癌 (HBOC) では明らかなターゲットが存在しないため、治療が難しい。PARP阻害剤 (olaparib) は、従来の抗がん剤に比べて副作用が少なく、TNBCやHBOCに対して有効であることが報告され、臨床試験による評価が期待されている。しかし、olaparibを用いた併用療法については様々な組合せが考えられ、未だ確立されていない。また、Brca1遺伝子とBrca2遺伝子のノックアウト(KO)マウスは、いずれも胎生致死であり、解析が難しい。そこで、申請者らの研究グループは、Brca2遺伝子の発現を脳特異的に抑制したコンディショナルKO (cKO) マウスを作製し、Brca2 cKOマウスが高頻度に髄芽腫を発症することを報告した。さらに、Brca2 cKOマウス髄芽腫から独自に細胞株を樹立後、microRNA発現解析を行い、olaparib感受性を亢進するmicroRNAとして、miR-141、miR-146a、miR-203の3種類を同定した。 平成28年度は、ヒト乳癌細胞MDA-MB-231にmiR-141、miR-146a、miR-203をそれぞれ導入し、ウェスタンブロット法によるターゲットの同定を行った。また、ヒト乳癌細胞MDA-MB-231を用いたTaqMan microRNA assayにより、miR-141、miR-146a、miR-203の発現を亢進する薬剤のスクリーニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウス髄芽腫細胞株を用いたolaparib感受性に関するmicroRNA発現解析の結果をもとに、平成28年度は、ヒト乳癌細胞MDA-MB-231にmiR-141、miR-146a、miR-203をそれぞれ導入し、ウェスタンブロット法によりターゲットを同定した。さらに、MDA-MB-231細胞において、miR-141、miR-146a、miR-203の発現を誘導する薬剤のスクリーニングを行った。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト乳癌には、HER2、ホルモン受容体、トリプルネガティブなどの様々なタイプがあり、それぞれ治療薬や再発リスクが異なる。平成29年度は、ヒト乳癌細胞MDA-MB-231以外に、MDA-MB-453細胞とMCF-7細胞を用い、olaparib感受性を亢進する3種類のmicroRNA(miR-141、miR-146a、miR-203)を発現誘導する薬剤のスクリーニングを行う予定である。また、マトリゲルによる浸潤アッセイによって癌細胞の浸潤能を評価し、効果的なolaparib併用療法の確立を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、平成29年度にヒト乳細胞株を購入する予定であったが、予定より少し早く、平成28年度末にヒト乳細胞株(MCF-7とMDA-MB-453)を購入し、microRNA発現解析を行うため。
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次年度使用額の使用計画 |
理化学研究所バイオリソースセンター細胞材料開発室より、MCF-7細胞とMDA-MB-453細胞を購入し、microRNA発現解析を行う。
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