研究課題/領域番号 |
15K10080
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
井田 智 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医員 (80583038)
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研究分担者 |
馬場 祥史 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 講師 (20599708)
今村 裕 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医員 (70583045)
渡邊 雅之 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 部長 (80254639)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食道癌 / CAF / エピゲノム解析 |
研究実績の概要 |
現在、field cancerizationに強く関連すると予想される、①飲酒・喫煙に暴露され、食道内多発病変を有する食道癌と、②飲酒・喫煙歴のない食道癌の切除検体の正常食道粘膜および粘膜下の間質からDNAを抽出し、癌部と合わせてエピゲノム解析を行う方針としている。今回、グローバルメチレーションのマーカーとして知られるLong interspersed nuclear element (LINE-1)のメチレーションレベルを選択しその妥当性を検討した。まず、20例の食道癌切除症例切除検体をもちいて、レーザーマクロダイセクション法により癌部と周囲の正常扁平上皮部のDNAを抽出し、Epitect bisulfite kitを用いてバイサルファイト処理を行った。そのバイサルファイトDNAを用いて、Pyrosequencing法を用いたLINE-1メチル化レベルの測定と、methylight PCRを用いた8種類の癌関連遺伝子のCIMP (CpG island methylator phenotype)のpercentage of methylated reference (PMR)を算出し、両者を比較検討した。なお、CIMP陽性はPMR>4とした。結果として、LINE-1メチル化レベルは有意にCIMPマーカー陽性数が多いことが判明した(P<0.05)。食道扁平上皮癌のエピジェネティック変化のsurrogate markerとして妥当であることが証明された。今後は、間質のDNAを再度抽出し、field cancerizationの評価を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
食道癌切除症例のパラフィン包埋切片から、レーザーマイクロダイセクション法を用いて正確に癌部・正常粘膜・間質のDNAを抽出することに時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はさらに大規模な症例および研究サンプルの蓄積を用いて検討を行う予定である。 飲酒および喫煙を有する食道癌症例40例と飲酒および喫煙歴のない食道癌症例40例からDNAを抽出し、平成28年度に行う予定であった研究・解析を平成29年度にがん研究所と提携し遂行する計画としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が予定よりも滞っているため、予定した使用額には満たなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度はさらに大規模な症例および研究サンプルの蓄積を用いて検討を行う予定である。平成28年度に行う予定であった研究・解析を平成29年度にがん研究所と提携し遂行する計画であり、その研究費用として使用する予定である。
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