研究課題
1)食道癌におけるCTC検出:食道扁平上皮癌切除症例10例の術前、術後および対照として健常人10人より末梢血液10mlを採取し、単核球層を分離しEpCAM/p75NTRおよびEpCAM/CD44の組み合わせを用いてCTCを検出したところ、EpCAM陽性細胞数は健常人に比べて食道癌症例で有意に多数検出された。EpCAM陽性CTCに占めるp75NTR陽性細胞の割合は平均56.7%であったのに対してEpCAM陽性CTCに占めるCD44陽性細胞の割合は平均98.6%とCD44ではなくp75NTRを用いてEpCAM陽性CTCをサブセットに分けられる可能性が考えられた。EpCAM陽性/p75NTR陽性細胞カウントは切除標本における静脈侵襲と有意な相関を示した一方、EpCAM陽性/p75NTR陰性細胞カウントはどの臨床病理学的因子との相関も示さなかった。また、セルソーターを用いて分離したEpCAM陽性/p75NTR陽性細胞は細胞診にて異形細胞であることを確認した。現在、分離したCTCの末梢血液循環癌幹細胞としての形質を検証している。2)胃癌におけるCTCの検出:胃癌症例26例および対照健常人12例より末梢血液10mlを採取し1)と同様にEpCAM-CD44陽性細胞を検出したところ、EpCAM/CD44陽性細胞は胃癌患者において有意に多く検出され、胃癌担癌の感度、特異度はそれぞれ92.3%、100%であった。EpCAM陽性/CD44陽性細胞カウントは切除標本におけるT因子および静脈侵襲と有意な相関を示した一方、EpCAM陽性/CD44陰性細胞カウントはどの臨床病理学的因子との相関も示さなかった。3)まとめ:これらより食道癌においてはp75NTR、胃癌においてはCD44がCTCのなかでもより転移と関わる細胞サブセットのマーカーとなる可能性が考えられた。
2: おおむね順調に進展している
研究実績の概要に記した通り、食道癌においてはp75NTR、胃癌においてはCD44がCTCのなかでもより転移と関わる細胞サブセットのマーカーとなる可能性を示した。分離したCTCを生細胞として回収し分子生物学的解析を行う予定であったが、回収方法の調整に時間を要している。
1)さらに症例数を積み重ね、臨床病理学的因子との相関を明らかにする。2)分離したCTCの末梢血液循環癌幹細胞としての形質を検証する。3)マイクロ流体デバイスを用いてCTCを検出検し、フローサイトメトリーを用いたデータと比較する。
分離したCTCを生細胞として回収し分子生物学的解析を行う予定であったが、回収方法の調整に時間を要したため、マイクロアレイ解析など大型の費用を次年度に繰り越した。また、食道癌培養細胞から分離した癌幹細胞を用いたマイクロアレイ解析結果が得られたばかりであり、候補分子分の分子生物学的検討が始まったばかりである。
患者末梢血から分離分したCTCを用いた分子生物学的機能解析および、食道癌培養培細胞を用いた幹細胞制御分子の機能解析に使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
World Journal of Surgical Oncology
巻: 14 ページ: 40-47
10.1186/s12957-016-0793-9
Oncology Letters
巻: 未定 ページ: 印刷中