研究実績の概要 |
当院にて外科切除を施行した食道原発NEC6例について検討したところ、臨床病期Ⅰ/Ⅱ: 2例、Ⅲ/Ⅳ: 4例に対して治癒切除およびCDDPを含む術後補助化学療法が施行され無再発生存3例(209.0ヶ月、180.7ヶ月、56.1ヶ月)、癌死3例(1.7ヶ月、5.1ヶ月、8.5ヶ月)と手術を含む集学的治療により長期生存が期待できる症例が少なからず存在することが示唆された(Okumura T, et al. Anticancer Res 2014)。一方、これら2群においては臨床病理学的因子と予後に有意な相関を認めず、分子生物学的手法を用いた治療感受性予測や予後不良例における新たな治療標的分子の探索が必要と考えられた。 この結果に基づき、「食道原発神経内分泌癌におけるマイクロRNA発現プロファイルを用いた分子生物学的サブクラスの同定と治療効果予測分子マーカーセットの探索」を日本神経内分泌腫瘍研究会(JNETS)の多施設共同プロジェクト研究として開始した。富山大学およびJNETSの倫理審査委員会で承認され、国内26施設から合計72例が登録される予定で、2017年10月時点で11施設において倫理承認され合計21症例の検体を収集している(表1)。症例報告書より21症例において早期再発11例、無再発5年生存10例と予後の二極化が確認でき、今後の症例蓄積によって分子生物学的サブクラスの同定が可能になるものと期待される。
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