研究課題/領域番号 |
15K10091
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
神谷 欣志 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (20324361)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 食道外科学 / 食道癌 / 術後嚥下機能 / 食道内圧 |
研究実績の概要 |
昨年度の解析結果を受け、食道癌根治切除後の9症例について詳細に検討を行った。全例嚥下造影を行い、分割嚥下、誤嚥、喉頭侵入、咽頭残留のいずれかの所見を認めた4例(障害群)といずれの所見も認めない5例(正常群)の2群に分類した。障害群では4例中3例に反回神経麻痺(両側2例、片側1例)を認め、そのうち1例で気管切開チューブが挿入されていた。正常群では、1例で肺炎の治療のために気管切開チューブが挿入されていたが、反回神経麻痺は全例で認めなかった。動画解析ソフトPV Studio 2D (OA Science, Japan)を用いて嚥下造影側面像の舌根、喉頭蓋谷、喉頭蓋、披裂部、梨状陥凹、舌骨の各ポイントの移動座標値を経時的に測定し、それらの最大移動距離、最大速度、任意の2点間距離を2群間で比較検討した。最大速度はいずれのポイントでも2群間に差を認めなかったが、舌骨最大移動距離 (cm) (障害群32.7 +/- 14.7、正常群16.7 +/- 2.1、p=0.0445)、最小喉頭蓋-披裂部間距離(障害群6.23 +/- 3.16、正常群2.36 +/- 1.41、p=0.0423)は障害群で有意に長かった。障害群では、各測定ポイントの協調した移動の障害が観察され、咽頭期における代償性の随意運動が影響を及ぼしている可能性が考えられた。 今後は高解像度マノメトリー(HRM)による解析を集積し、動画解析ソフトによる解析結果と最大嚥下圧、嚥下伝搬速度、嚥下圧持続時間、食道静止圧、食道最大内圧などの関連について検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
嚥下機能障害の形態学的検討に時間を要したため、20チャンネル咽頭HRMによる食道癌患者の評価に若干の遅れを認めている。
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今後の研究の推進方策 |
嚥下造影、HRMによる嚥下機能評価の症例集積に注力し、嚥下造影による嚥下障害や臨床的な嚥下障害の有無と、HRMの測定値を比較検討することで、嚥下障害のパターン、嚥下障害発生時の嚥下動態を解析する。
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