研究課題
消化管間質腫瘍(GIST)は、KIT の機能獲得型変異で発生することが発見され、病因に基づく分子標的治療薬が臨床導入された。高い病勢コントロール率を示す一方で、5年の長期寛解後の治療中止が全例再燃を来すことが報告され問題となっている。また、治療奏功中の切除症例において、切除標本からは、viable なpersistent cells が確認されている。本研究では、persistent cells の特徴を明らかにし新規治療法の開発を目的とする。さらに、その先のresistant cells が出現を誘発しやすい環境等についても検討を行い、二次耐性発生機構を明らかにする事を目的としている。平成27年度には、in vitro の細胞を用いて、イマチニブ上記変異箇所に限定し、10万回以上のリードによるdeep sequence を行い、その割合の変化を検討する。親株から順を追ってその遺伝子変異がどの段階で出現してきたものか、あるいは元から存在していた変異であるかについての数理学的解析を行い、株発生の系統図を作成できた。平成28年度には、さらに親株から順を追って耐性化を生じる過程について、それぞれの細胞の発現アレイ解析を行い、persistent cellsさらにresistant cellsの特徴を明らかにした。その結果、persistent cellsにおけるタンパク発現は親株と大きく異なる一方で、耐性株になると元に近い形を示すことを明らかにした。さらには、ヒト臨床検体を用いたエキソーム解析の結果、同一患者の腫瘍における変化が、細胞実験レベルと同様の結果である事を示した。上記結果について、学会発表、論文発表を行い成果報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
消化管間質腫瘍(GIST)は、KIT の機能獲得型変異で発生することが発見され、病因に基づく分子標的治療薬が臨床導入された。高い病勢コントロール率を示す一方で、5年の長期寛解後の治療中止が全例再燃を来すことが報告され問題となっている。また、治療奏功中の切除症例において、切除標本からは、viable なpersistent cells が確認されている。本研究では、persistent cells の特徴を明らかにし新規治療法の開発を目的とする。さらに、その先のresistant cells が出現を誘発しやすい環境等についても検討を行い、二次耐性発生機構を明らかにする事を目的とした。平成27年度、28年度において、細胞株をイマチニブに暴露することでpersistent cellsさらにresistant cellsを作成しそのタンパク発現の差、遺伝子解析の発生を検討し、persistent cellsでは、発現は親株とは大きく異なるものの遺伝子のレベルでは著変なく、resistant cellsでは、発現は親株とあまり大きな差がないものの遺伝子のレベルでは変化を生じていることを発見し、学会報告、論文報告に繋げることができた。そのため、概ね順調な計画で進められていると判断する。
平成27年度、28年度の結果を受け、persistent cellsの段階での治療標的が望ましいと判断し、29年度は親株とのタンパク発現の差がどういったサバイバルに影響を及ぼしているかについて検討を行うこととしている。過去2年度同様の細胞株を用いて、特にメタボロームの変化に着目し、persistent cellsの親株と比してどういった代謝が変化しているかについて検討を行う。さらに、どういった生存経路でサバイブするかについての検討を行うこととし、さらにはその標的に対して、新規治療法の開発を目指すこととする。
細胞実験試薬の差額を生じたため。
最終年度の2017年度に細胞実験試薬諸費用として計上見込み。
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Genes Chromosomes Cancer.
巻: 56 ページ: 303-313
10.1002/gcc.22438.
Digestion
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10.1159/000447665