研究課題/領域番号 |
15K10099
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
瀧口 修司 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00301268)
|
研究分担者 |
宮崎 安弘 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00571390)
黒川 幸典 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10470197)
新野 直樹 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (10724122)
土岐 祐一郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20291445)
山崎 誠 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50444518)
高橋 剛 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50452389)
柳本 喜智 大阪大学, 医学部附属病院, その他 (70645085)
宮田 博志 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (80362713)
牧野 知紀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80528620)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | グレリン / 外科侵襲 / 胃癌 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は高難度手術及びハイリスク症例の手術成績向上を目指したグレリンを用いた支持療法の開発である。食道癌周術期の侵襲コントロールに有効性(Ann Surg. 2015 Aug;262(2):230-6.)の結果をもとに、手術成績向上が望まれる手術を対象にした研究である。膵島十二指腸切除は、高難度手術として侵襲軽減により成績向上が期待される手術である。上記手術は、血中グレリンの周術期変化についても未だ報告がないため、投与試験の前段階として血液サンプリングを実施した。現在、周術期の血中グレリン変化を解析中である。この結果をもとにグレリン投与量の算出、臨床試験プロトコールの作成を進める。一方、ハイリスク患者として高齢者を対象とした検討を行う「胃癌・大腸癌高齢(80歳以上)患者の合成グレリンの臨床効果に対するII相試験」はプロトコールを作成し、IRB承認に向けて手続きを進めている。また、付随研究として進めている食道癌術前化学療法におけるグレリンの腎庇護作用の検討は症例集積がすすめることができた。食道癌術前化学療法患者40名に解析の結果、グレリン投与群は非投与群と比べて、クレアチニンの上昇が少なく有意に庇護作用を有することが示された。現在論文執筆投稿中である。このほか、肝移植患者の周術期グレリン変化に関する論文はJ Surg Res誌にアクセプトされた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床試験が中心となる本研究は、プロトコール作成と症例集積ペースにより進捗が決まる。膵島十二指腸切除術は年間症例数として25症例前後であり、40例の臨床試験では2年程度集積期間が見込まれる。しかしながら、同手術へのグレリン臨床試験は導入実績がなく、周到な準備が必要である。これまで胃・食道を対象として行い血中グレリンの推移については既知であったが、膵島十二指腸切除については血中グレリンの推移については知見がないことから現在検討している。この結果をふまえ、無作為比較試験のプロトコールを作成し、IRB承認後速やかに臨床試験を行う予定である。概ね当所の計画通り進んでいる。高齢者グレリンについては、前述の如く、すでにプロトコールは仕上がりIRB申請中である。承認後速やかに臨床試験を進められる予定である。付随研究であるグレリン腎庇護作用については、先行して臨床試験がはじまっていいたことで平成27年8月に症例集積が終了することができた。解析も終了し論文投稿まで進捗しており概ね計画通り進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
臨床試験は、大阪大学附属病院にて実施される。プロトコールの作成既に進んでおり、倫理委員会とのやりとりもはじめている。また、薬事未承認薬の投与であることから、薬物管理は常に細心の注意が必要で有り、消化器外科医と病棟看護師、栄養マネージメント部、薬剤部とのチームを作成し、薬剤投与準備、患者の栄養状態、摂取カロリーの評価、患者の症状モニタリングについてコンセンサスミーティングを行った後分業して試験を推進している。 連携研究者の寒川賢治先生には、合成ヒト・グレリンの供与を受けるだけではなく、グレリン測定方法の指導、機器の使用、さらには実験データ解析、臨床試験デザインなどにおいて幅広く協力を仰いである。合成グレリンに関する臨床試験題目は大阪大学より公開している。臨床試験の結果については英文論文や国内外の学会にて発表の予定である。 また、グレリンの製剤化については、食道癌高齢者に対する合併症軽減を目指した合成グレリンの有用性試験として現在、医師主導治験としても進めておりこちらの研究成果も相互にフィードバックしながら進めていくことでさらなる研究進捗が期待される。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ハイリスク患者として高齢者を対象とした検討を行う「胃癌・大腸癌高齢(80歳以上)患者の合成グレリンの臨床効果に対するII相試験」はプロトコールを作成し、IRB承認に向けて手続きを進めるための物品を購入したため。
|
次年度使用額の使用計画 |
薬事未承認薬の投与であることから、薬物管理は常に細心の注意が必要で有り、消化器外科医と病棟看護師、栄養マネージメント部、薬剤部とのチームを作成し、薬剤投与準備、患者の栄養状態、摂取カロリーの評価、患者の症状モニタリングについてコンセンサスミーティングを行った後分業して試験を推進するための物品を購入するため。
|