研究課題/領域番号 |
15K10101
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
浜井 洋一 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (90423384)
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研究分担者 |
岡田 守人 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70446045)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | DNA修復阻害 |
研究実績の概要 |
癌ではDNA損傷・修復機構が密接に関与し治療標的となる。1本鎖と2本鎖DNA切断の修復に関わるPARPとRAD51を標的とし同時に阻害することで,合成致死性による抗腫瘍効果増強が期待できる。 本研究では,①食道癌細胞株において抗癌剤および放射線照射に,PARPとRAD51の阻害を加え,抗腫瘍効果をin vitro, in vivoで評価する。②その過程で,DNA損傷の指標であるγH2AXとDNA切断の修復に関わるRAD51を経時的に測定し抗腫瘍効果の発現・増強メカニズムを解明する。以上を応用し,食道癌に対するDNA損傷・修復機構を標的とした新規化学放射線療法の開発を目的とする。 本年度は、食道癌細胞株における抗癌剤,PARP阻害剤,放射線照射による抗腫瘍効果とγH2AX,RAD51発現の経時的変化の評価を行った。食道癌細胞株にDNA損傷を引き起こす抗癌剤(Cisplatin, 5FU, Camptothecin,temozolomide)を単独および併用添加し,抗癌剤併用の相加・相乗効果を評価した。さらにDNA損傷の指標であるγH2AXとDNA修復蛋白RAD51フォーカスの量的変化 (kinetics) と細胞内動態を経時的に測定し,各抗癌剤の細胞内作用部位と効果発現メカニズムを解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
食道癌細胞株にDNA損傷を引き起こす抗癌剤を単独および併用添加し,抗癌剤併用の相加・相乗効果を評価した。さらにDNA損傷の指標であるγH2AXとDNA修復蛋白RAD51フォーカスの量的変化 (kinetics) と細胞内動態を経時的に測定し,各抗癌剤の細胞内作用部位と効果発現メカニズムを明らかにした。現在、PARP阻害剤 (Olaparib, 1,5,10μM (24hr)) を添加し,Olaparibの添加による抗腫瘍効果を評価するとともに,DNA損傷(γH2AX)と修復(RAD51)の継時的変化を解析している。また,PARP阻害剤 の至適投与量および投与時間の検討を行っているが、当初の予定より進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、RNAi法を用い恒常的にRAD51の発現抑制を行い,食道癌細胞株に対する抗腫瘍効果を評価する。①対照群,②抗癌剤投与群,③放射線照射単独群,④Olaparib単独群,⑤抗癌剤+Olaparib併用群,⑥Olaparib+放射線併用群,⑦抗癌剤+Olaparib+放射線併用群で抗腫瘍効果の評価を行う。DNA損傷の指標としてγH2AXを継時的に測定。RAD51の変化を確認する。さらに,ヌードマウスにRAD51発現抑制食道癌細胞株を皮下移植し,同様に①対照群,②抗癌剤投与群,③放射線照射単独群,④Olaparib単独群,⑤抗癌剤+Olaparib併用群,⑥Olaparib+放射線併用群,⑦抗癌剤+Olaparib+放射線併用群でTumor volumeを測定する。種々のコンビネーションによるin vivoでの抗腫瘍効果を検証する予定である。
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