研究課題
癌ではDNA損傷・修復機構が密接に関与し治療標的となる。1本鎖と2本鎖DNA切断の修復に関わるPARPとRAD51を標的とし同時に阻害することで,高度のゲノム不安定性が生じ効率の良い抗腫瘍効果が期待される。つまり合成致死性による抗腫瘍効果増強が期待できる。本研究では,①食道癌細胞株において抗癌剤および放射線照射に,PARPとRAD51の阻害を加え抗腫瘍効果を評価する。②その過程でDNA損傷の指標であるγH2AXとDNA切断の修復に関わるRAD51を経時的に測定し抗腫瘍効果の発現・増強メカニズムを解明する。これらの結果を応用することで食道癌に対するDNA損傷・修復機構を標的とした新たな化学放射線療法の開発を目的としている。これまで食道癌細胞株において①抗癌剤 ②PARP阻害剤 (Olaparib) ③放射線照射による抗腫瘍効果を評価した。また,これら薬剤および放射線併用での抗腫瘍効果の評価を行い,PARP阻害剤と放射線照射の相乗効果を確認した。さらに,RNAiによるRAD51の発現抑制下で,上記薬剤,放射線照射の併用による抗腫瘍効果を評価した。この抗腫瘍効果の発現過程でγH2AXとRAD51を経時的に測定し抗腫瘍効果の発現・増強のメカニズムの解明を行った。研究の成果としては,PARPとRAD51を標的とした治療と,抗癌剤および放射線治療の相乗効果について定量を行い,その作用機序を解明することができた。PARPとRAD51を標的として2種類のDNA修復機構を阻害することで,より有効な新治療を開発を目指し,その抗腫瘍効果発現機構を明らかにすることで癌治療の発展につなげていきたい。
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