研究課題/領域番号 |
15K10104
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
齋藤 誠哉 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (00594475)
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研究分担者 |
坂本 快郎 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00452897)
宮本 裕士 熊本大学, 医学部附属病院, 助教 (80551259)
林 洋光 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (80625773)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | エピジェネティクス / miRNA / メチル化 / 食道扁平上皮癌 |
研究実績の概要 |
食道扁平上皮癌の細胞株であるTE-1とKYSE30に5AZA処理することでDNAのメチル化レベルが低下する。5AZA処理を行うことでmiR-145のロモーター領域のメチル化レベルが低下し、その発現レベルが上昇することから、miR-145はプロモーター領域により発現が制御されていることを報告している。しかし、miR-145の発現レベルと臨床病理学的因子、予後と有意な関係性が認められず、miR-145の機能解析の為の基礎実験には進めることができなかった。miR-145以外に5AZA処理によりmiR-146aの発現レベルも有意に変化していたので、他のmiRに注目することし、食道扁平上皮癌におけるmiR-146aの発現レベルを測定した。食道扁平上皮癌の診断で根治的手術が施行された88例のホルマリン固定パラフィン包埋組織からマクロダイセクション法により癌組織を採取し、miRNeasy FFPE Kit(QIAGEN)を用いてmiRを含むTotal RNAを抽出した。miR-146a の発現レベルはqRT-PCR(Quantitative reverse transcriptase polymerase chain reaction)法を用いて測定した。しかしながら、miR-146aの発現レベルは臨床病理学的因子(TNM stage、静脈浸潤、リンパ管浸潤、家族歴、腫瘍部位など)、疫学的因子(喫煙歴、飲酒歴、BMI index など)、抗癌剤の使用有無、奏功率、予後と有意な関係性を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今まで、miR-145、miR-146aの発現レベルを測定してきたが、臨床病理学的因子との関係を認めず、食道扁平上皮癌の悪性に関係があるmiRであるとは言い難い。細胞株を使った機能的解析に進むよりは新たなmiRの検索が必要と思われる。
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今後の研究の推進方策 |
TE-1とKYSE30を用いたmiR arrayではDNAのメチル化により発現が変化するmiRがmiR-145、miR-146a以外にも同定されている。新たなmiRの測定を中心に研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
医局内保管の試薬、消耗品等を使用できたため。
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次年度使用額の使用計画 |
TE-1とKYSE30を用いたmiR arrayではDNAのメチル化により発現が変化するmiRがmiR-145、miR-146a以外にも同定されている。新たなmiRの測定が必要であり、そのため、研究費は実験試薬等の購入費およびデータ管理、試料作製等にかかる人件費に充てる予定である。
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