研究分担者 |
衛藤 剛 大分大学, 医学部, 講師 (00404369)
平塚 孝宏 大分大学, 医学部, 助教 (20600886)
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
赤木 智徳 大分大学, 医学部, 助教 (80572007)
北野 正剛 大分大学, 法人本部, 学長 (90169871)
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研究実績の概要 |
[はじめに]本研究の目的は,消化管癌のリンパ節転移やリンパ管侵襲の発生機序を解明し,その臨床的意義を明らかにすることである。3年の研究期間に,癌の予後因子であるリンパ節転移の機序や遠隔転移の有無とリンパ管新生・リンパ管侵襲との関連を分子生物学的手法,免疫組織学的手法,網羅的遺伝子解析,および電子顕微鏡を用いた形態学的手法を用いて解明する。当科では今までに,大腸癌患者におけるリンパ管侵襲とリンパ節転移および予後不良の指標としてのVisinin-like protein-1(VSNL-1)発現の有用性(Akagi T, et al. Int J cancer 2012)や,高感度レクチンアレイを用いた大腸癌の糖鎖プロファイリングによる転移,再発に関与するレクチンの同定(Nakajima K, et al. Cancer Med 2015)を行ってきた。今回は消化管癌の中でも早期からリンパ節転移を来たしやすいとされる食道癌に着目し,リンパ節転移や遠隔転移に関連する遺伝子研究を行う。 [方法]食道癌患者の治療前生検標本から癌部組織および非癌部組織を使用する。組織より抽出したmRNAを用いて,DNAマイクロアレイ法(Agilent scanner)による遺伝子プロファイリングを解析する。癌部/非癌部の遺伝子発現比を算出し,臨床病理学的因子との関連を検討しリンパ節転移やリンパ管侵襲に関わる遺伝子の抽出および機能解析を行う。 [結果]食道癌患者の治療前生検標本から癌部組織および非癌部組織の採取を行った。前年度,33症例の治療前生検標本を採取し,mRNAを抽出,DNAマイクロアレイを行った。現在,リンパ管侵襲に有意に相関する候補遺伝子の発現解析を行ない,分子ネットワーク解析を用いて機能解析をおこなっている。 [まとめ]食道癌のリンパ節転移,リンパ管侵襲に有意に相関する候補遺伝子を同定するため,生検標本を用いてDNAマイクロアレイを行った。今後は臨床病理学的因子と遺伝子発現の評価を用い,リンパ節転移やリンパ管侵襲に関わる候補遺伝子の抽出と機能解析を行っていく。
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