研究課題
平成27年度は、癌幹細胞におけるFdxr発現の意義および他マーカーとの関連性の解明についての研究を行った。消化器癌細胞および組織における癌幹細胞マーカーおよび間葉系マーカー発現については、Fdxr高発現食道癌細胞において、間葉系マーカーVimentin、幹細胞マーカーOct4、Sox9、ABCトランスポーターMDR1, MRP1, BCRPの高発現を確認した。Fdxrが高発現することによって、細胞は間葉系化し、薬剤耐性にかかわる因子の発現を高めていることが観察された。NF-E2-related factor2(Nrf2)発現との関連性については、食道癌組織におけるROS産生調節因子であるNrf2の高発現かつFdxr高発現の状況が薬剤耐性と関連していることを見出すことができた。しかし、各細胞質輸送における両者の直接的な関わり合いは不明である。Microarray解析においては、Fdxr高発現細胞と低発現細胞間におけるDNAマイクロアレイを行い、活性酸素、EMT,アポトーシス関連遺伝子、浸潤転移関連遺伝子、転写因子の各項目の因子を同定することができた。
2: おおむね順調に進展している
平成27年度に計画した実験項目のすべてに関して結果を得ることができた。
Fdxrが高発現することで、消化器癌細胞は間葉系細胞の性格を得ながら、治療抵抗性の形質を取得していることが理解されたので、今後は、計画通り、Fdxr発現と治療抵抗性のメカニズム解明およびその克服法の開発を主体に研究を進める予定である。細胞での研究が困難な場合は、切除標本における組織上でのたんぱく発現と臨床での治療結果の間での統計学的な関連性について調べる予定である。最終的には、Fdxr発現評価による治療感受性症例の予測および治療抵抗性症例に対する治療法の検討を行うことが目標である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
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