研究課題
平成29年度は、術前化学放射線療法施行食道癌症例における効果予測マーカーの探索を行った.本研究では,術前化学放射線療法を受けたESCC59例を対象とし,治療開始前の腫瘍組織生検標本を用いて,既報告されている7種類のバイオマーカー候補蛋白の発現を免疫染色法にて評価し,治療効果および予後との関連について検討した.バイオマーカー候補蛋白は、がん抑制遺伝子産生蛋白p53,細胞周期調節因子CDC25B,14-3-3sigma,DNA修復因子P53R2,ERCC1,分化調節因子Gli1,酸化ストレス調節因子Nrf2の7種類とした。それぞれの蛋白の陽性率はP53/ CDC25B/ 14-3-3sigma/ P53R2/ ERCC1/ Gli1/ Nrf2:47%/ 83%/ 68%/ 76%/ 75%/ 32% 54% であった.単変量解析で,p53(-),P53R2(-),ERCC1(-),Nrf2(-)群で治療が奏効していた.ロジスティック回帰分析による多変量解析ではP53(-),P53R2(-),ERCC1(-)に組織学的効果と有意な関連が認められた。p53, P53R2, ERCC1のうち2種類もしくは3種類すべての蛋白発現が陰性である群の奏効率は100%で,すべての蛋白が発現している群の奏効率は20%にとどまった。5年生存率において3種類すべての蛋白発現が陰性である群は100%、2種類陰性の群は67%、1種類陰性の群は37%、すべて陽性の群は19%だった。多変量解析でもこれら3種類の蛋白発現陰性の数は独立した予後因子となった。以上より、治療前生検組織標本におけるP53,P53R2,ERCC1の蛋白発現ステイタスを組み合わせることによって、ESCC患者に対する術前化学放射線療法のより正確な効果予測が可能になると考えられる。
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