研究実績の概要 |
本年度は、消化器癌における、microRNAマイクロアレイを用いた分泌型の癌抑制型のmiRNA候補群の網羅的探索を行った。我々は、これまで東レ3D Gene microRNAマイクロアレイを用いた血中miRNAの網羅的解析により、食道癌ではmiR-25(Komatsu S et al. Br J Cancer 2014)、胃癌ではmiR-451、miR-486(Konishi H, Ichikawa D, Komatsu S et al. Br J Cancer 2012)が、担癌患者血漿中で有意に血中濃度が高く、癌の存在診断、モニタリング診断に有用であることを明らかにした。これまでの血中miRNAアレイ解析手法を基盤にして、今回、食道癌、胃癌、膵癌、肝癌等の担患者血中で健常人より血中濃度が著しく低い癌抑制型miRNAの候補を網羅的に選出した。すなわち、癌化の初期に進展を抑制するために正常細胞から送達されていたと考えられる分泌型の癌抑制miRNAで、枯渇あるいは他の機序により正常細胞から分泌抑制された結果、癌の進行に影響したと考えられる癌抑制型のmiRNAを網羅的に選出することが目的である。我々は既に、癌組織で発現低下している癌抑制型miRNAに注目して、食道癌、膵癌では癌抑制型miR-375、胃癌では癌抑制型Let-7a、miR-451、miR-486で初期のステージの癌で、血中濃度が高く、癌の進行と共に血中濃度が低下することを明らかにして報告しており(Komatsu S, Tsujiura M, Konishi H, Kawaguchi T et al. Br J Cancer 2010, 2011, 2012, 2013)、今後新たな候補を選出し、診断、治療に応用していく予定である。
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