食道扁平上皮癌は現行の集学的治療を行ってもなお予後不良な癌腫のひとつである。本研究ではケモカインネットワークを標的とした新たな食道扁平上皮癌悪性度診断法と,新たな癌治療の開発を目指して研究を行った。過去の手術検体を用いた検討では,CXCL12-CXCR4,IL8-CXCR2,CCL5-CCR5のケモカインネットワークがそれぞれ予後不良因子であると同時に,ケモカインネットワークの発現数が多いほど予後不良であることを示した。また,食道扁平上皮癌細胞株を用いた検討では,上記ネットワークの抑制により細胞増殖能を抑制できることを見出し,新たな治療標的となり得る可能性を示した。
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