研究課題/領域番号 |
15K10120
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
内山 和久 大阪医科大学, 医学部, 教授 (80232867)
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研究分担者 |
赤尾 幸博 岐阜大学, その他の研究科, 教授 (00222505)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | microRNA / Warburg効果 |
研究実績の概要 |
1.PTB1関連microRNAsの抗がんメカニズムを解明するためにまずmiR-1,133b のがん代謝機構へ与える影響を分子レベルで明らかにするために、miR1,133bを細胞株(大腸、胃、横紋筋肉腫など)に導入し細胞増殖抑制効果を確認し、細胞増殖抑制効果の原因(細胞死:apoptosis, autophagy及び細胞周期停止)を特定した。具体的には①.Western blotting法による細胞死関連遺伝子及び細胞周期関連遺伝子蛋白の発現変化の検索。②各種阻害剤実験(Caspase inhibitor, autophagy inhibitor)。③細胞周期分析、ヘキスト染色、電子顕微鏡観察にてWestern blotting を中心にPTB1関連遺伝子(PTB,PKM1/2)の発現変化を確認した。さらに免疫染色を用いて細胞レベルでのPTB関連遺伝子の変化を詳細に観察した。またmiR-1,133bの代謝機構への影響を検証した。 2.miR-1,133bの抗腫瘍効果をin vivoで検証するために大腸癌細胞株、胃癌細胞株、横紋筋肉腫細胞株をヌードマウスに移植し、miR-1,133bを局所投与することによる細胞増殖抑制効果の確認とin vitroでの分子メカニズムの再現性を確認した。これまで大腸癌細胞株を用いたmiR-124およびsiR-PTB1局所投与において顕著な細胞増殖抑制効果とin vitroでの効果の再現性が確認された。ただ、RNA創薬は生体内ヌクレースのよるDDSが依然障壁となっている。当然、化学修飾によるヌクレース耐性などの検証は行っているが、より早期の臨床への還元を目指し、まずはPTB1に対し抑制化合物を選定し、その効果を細胞株及びin vivoで検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Polypyrimidine tract binding protein 1 (PTB1) 関連microRNAs (miR-1, miR-124, miR-133等) のWarburg効果調節機構がほぼ解明できた。miR-1,miR-133bは筋組織のみならず、消化管での分布が高いmicroRNAsであり大腸癌細胞株で発現が顕著に低下している可能性が証明できた。ただ、RNA創薬は生体内ヌクレースのよるDDSが依然障壁となっている。
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今後の研究の推進方策 |
1.実際に臨床検体を用いて臨床検体よりRNAを抽出し、RT-PCR法を用いてmiR-1,133bの発現を調べる。その際、既存のデータである、miR-124とも比較しつつ、併用による診断率の上昇も検討する。同時にPTB1関連遺伝子(PTB1,PKM1,PKM2及び新規関連遺伝子)のバイオマーカーとしての有効性を検証する。 2.PTB1抑制化合物を用いてin vitro, in vivoでの効果を検証する。 生体内ヌクレースの問題からmicroRNAを投与し目的臓器で効果を発現させることは現段階では困難である。そこで、microRNAの研究により同定した重要遺伝子(例:PTB1)を抑制する化合物をバイオインフォマティクス(長良ソフト)10万種のライブラリーより同定し、これを細胞株及びマウスに投与する。既に明らかとなっているsiRNAのデータと比較することでより精度を高める。その際、DDSの問題を克服するため、我々はこれまでmiR-205の化学修飾(犬口腔内メラノーマにおいて前臨床試験中)やmiR-145のLocked Nucleic Acid (LNA)修飾に取り組んできている。同様の手法を用いてPTB1関連microRNAのヌクレース耐性効果を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
翌年にまとまった試薬および実験器具を購入する予定のため
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次年度使用額の使用計画 |
物品費のほかに旅費、人件費などにも使用する予定
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