研究課題/領域番号 |
15K10124
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
山田 和彦 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (70401081)
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研究分担者 |
河村 由紀 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所・肝炎・免疫研究センター・消化器疾患研究部, 消化器病態生理研究室長 (10392391)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 癌 / 食道扁平上皮癌 / 化学放射線療法 |
研究実績の概要 |
食道手術は解剖学的にも最も困難な手術の1つであり、術後の管理も難しい。化学放射線療法の有効性を示すエビデンスに基づき、近年では術前補助療法として標準的に施行されているが、一方で高齢者への術前補助療法の施行は患者の体力を消耗し、周術期管理をより困難にする場合がある。食道粘膜におけるエピジェネティックな変化はその症例の持つ様々な背景リスクを反映すると考えられるので、本研究では術前補助療法の奏効に関与するエピゲノム要因の探索を目指し、網羅的遺伝子発現、エピゲノム解析を行った。初年度は、術前に補助化学(放射線)療法を施行した食道手術症例の食道手術組織の病変部、非病変部を対象として網羅的解析を行った。トランスクリプトーム解析はRNA-seqにより、メチローム解析はMeDIP-seqにより施行した。RNA-seqにより得られた発現プロファイルを、術前補助化学(放射線)療法奏効症例と非奏効症例で比較解析し、両者で発現レベルの異なる遺伝子を抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
術前に補助化学(放射線)療法を施行した食道手術症例のうち、年齢、全身合併症の有無、喫煙・飲酒等の背景因子を考慮した治療奏効症例および非奏効症例を抽出し、その食道手術組織の病変部、非病変部を対象としてトランスクリプトーム解析、メチローム解析を施行した。トランスクリプトーム解析は、食道検体組織より抽出したRNAよりRNA-seqライブラリーを作製し、次世代シークエンサーにより網羅的に解析した。メチローム解析は、同一の食道検体組織より抽出したDNAに対してメチル化CpG結合タンパク質(MBD2)を用いた免疫沈降(MeDIP)を行い、得られたDNAから作製したライブラリーを次世代シークエンサーにより網羅的に解析した。RNA-seqにより得られた発現プロファイルを、術前補助化学(放射線)療法奏効症例と非奏効症例で比較解析し、両者で発現レベルの異なる遺伝子を抽出した。現在、術前補助化学(放射線)療法奏効症例と非奏効症例でDNAメチル化レベルの異なる領域(DMR)を検索した結果を、トランスクリプトーム解析結果とバイオインフォマティックス統合解析中である。
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今後の研究の推進方策 |
初年度に引き続き、トランスクリプトーム解析、メチローム解析の統合解析を進める。治療応答性との関連が示唆されたDMRについては、Pyrosequence法によるDNAメチル化定量法を確立し、多数検体を対象として後ろ向きに検討する。治療応答性との関連が示唆された遺伝子は、リアルタイムPCR法による遺伝子発現変化の確認を行う。抗体用いた組織化学的解析が可能な分子については、多数検体を対象とした後ろ向きに検討を行い、タンパク発現変化についても確認する。さらに、本研究で見出された治療応答性に関連する遺伝子について、ヒト正常食道扁平上皮細胞(HEEpiC等)およびヒト食道癌細胞株(KYSE30、OE21、TE4等)に強制発現、または、siRNAを用いた発現抑制を行って、分化や、細胞の増殖/運動/浸潤能等に及ぼす影響を解析し、細胞の分化異常・癌化や治療抵抗性の獲得にどのように関与するかを明らかにする。本研究で見出したエピゲノム変化については、ヒト食道癌細胞株(KYSE30、OE21、TE4等)に対してDNAメチル化阻害剤5-aza-2’-deoxycytidine (5-aza) 及びヒストン脱アセチル化阻害剤トリコスタチンA (TSA) 処理等を行い、DNAメチル化異常やヒストン修飾を解除した場合、遺伝子の発現に変化を及ぼすか否かを検証する。
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