研究課題
食道・頭頸部領域(UADT)の癌の発生には喫煙、飲酒が強く関与している。本研究は、食道癌の発生・進展過程にける喫煙・飲酒が惹起する分子生物学的機序を明らかにすることを目的とする。また、喫煙・飲酒を契機として発生するUADTの多発癌発生の特徴と発生メカニズムも検索をする。最終的に、これらを難治性の食道癌・頭頸部癌の予防、治療効果の予測につなげる。今年度は第117回日本定期学術集会にて、下記の2演題につき研究成果を発表した。1.食道・頭頸部ならびに胃における癌多発のリスクファクターに関する疫学的検討:食道・頭頸部の癌多発のリスクファクターおよび胃癌多発癌のリスクファクターを疫学的に症例・対照研究にて検討した。その結果、食道・頭頸部の扁平上皮癌の多発には過度の喫煙、飲酒のみならず食道癌または頭頸部癌の家族歴が関与する一方で、胃癌の多発には胃癌の家族歴がリスクファクターとして重要であると考えられた。2.まだら食道と食道多発癌におけるLINE-1メチル化の検討:ゲノム全体にわたるDNA低メチル化は発癌過程で重要な役割を担っていると考えられるが Long interspersed element 1 (LINE-1) のメチル化状態はその指標となる。今回、LINE-1のメチル化を解析し、喫煙・飲酒などの環境因子の暴露による癌多発にゲノムワイドなメチル化が関与するか否かを検討した。その結果、喫煙・飲酒等の環境因子への暴露が食道粘膜にゲノムワイドな低メチル化を惹起し、その結果、UADTに発癌の母地を形成し多発癌の発生につながる可能性が示唆された。また、日本食道学会ガイドライン検討委員会としての共同研究として、「禁煙・禁酒と食道癌罹患に関するメタアナリシス」を行い、禁煙・禁酒ともに食道癌のリスク軽減につながることを明らかにし、この結果はEsophagusに掲載された。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件) 学会発表 (12件)
In Vivo.
巻: 31 ページ: 909-916
Thermal Med.
巻: 33 ページ: 63-73
Surgical Laparoscopy, Endoscopy & Percutaneous Techniques
巻: 27 ページ: 197~202
10.1097/SLE.0000000000000409
Int J Clin Oncol.
巻: 22 ページ: 505-510
10.1007/s10147-017-1088-z.
PLoS One.
巻: 12 ページ: -
10.1371/journal.pone.0173501
Esophagus.
巻: 14 ページ: 290-302
10.1007/s10388-017-0582-8
Ann Surg.
巻: 265 ページ: 130-136
10.1097/SLA.0000000000001599.
Surg Laparosc Endosc Percutan Tech.
巻: 27 ページ: 87-91
10.1097/SLE.0000000000000435
Cancer Sci.
巻: 108 ページ: 1119-1127
10.1111/cas.13237.
日気食会報
巻: 68 ページ: 89-91
消化器看護
巻: 21 ページ: 6-11
臨床外科
巻: 72 ページ: 51-57