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2016 年度 実施状況報告書

消化管癌の発癌・進展における染色体不安定性の意義と発育制御への臨床応用

研究課題

研究課題/領域番号 15K10127
研究機関九州大学

研究代表者

河野 浩幸  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (70596668)

研究分担者 江頭 明典  独立行政法人国立病院機構九州医療センター(臨床研究センター), その他部局等, その他 (00419524)
藤 也寸志  独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 院長 (20217459)
森田 勝  独立行政法人国立病院機構(九州がんセンター臨床研究センター), その他部局等, 消化器外科部長 (30294937)
沖 英次  九州大学, 大学病院, 講師 (70380392)
佐伯 浩司  九州大学, 医学研究院, 准教授 (80325448)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード食道癌 / 染色体不安定性 / LINE-1 / メチル化 / 喫煙 / 飲酒
研究実績の概要

はじめに)食道内にヨード不染部が多発するまだら食道には、食道癌が多発しやすいことが知られている。またこれらの症例では頭頸部癌合併頻度が特に高く、多中心性に扁平上皮癌が発生することも報告されている。喫煙、飲酒などが食道多初癌に関与するとされているが、そのメカニズムは明らかではない。
LINE-1メチル化はゲノム全体のメチル化の指標となり、食道扁平上皮癌ではLINE-1メチル化の低下により染色体不安定性が増大し、またp53変異と関連することが我々の研究でわかっている。更に、非癌部(背景粘膜)のLINE-1メチル化が飲酒と喫煙歴とに逆相関することも判明している。
目的)まだら食道及び食道多発癌症例において、非癌部のLINE-1メチル化の値を測定しその関連を検討する。
対象と方法)食道表在癌36例を対象に、まだら食道(7例)と非まだら食道(29例)における癌部及び非癌部のLINE-1メチル化値を測定・比較した。術前無治療で手術を施行した食道扁平上皮癌110例を対象に、食道多発癌(17例)と頭頸部癌合併(11例)についても同様に検討した。
結果)非癌部におけるLINE-1メチル化レベルは、まだら食道で平均53.7%と非まだら食道60.3%に比べ有意に低値であったが(p=0.016)、癌部のメチル化では有意差は認めなかった。一方、多発癌においても、非癌部におけるLINE-1メチル化レベルは平均53.5%と単発癌61.9%に比べ有意に低値であった(p=0.016)が、癌部のメチル化では有意差は認めなかった。
頭頸部癌を合併した11例において、食道非癌部のメチル化は、多発癌やまだら食道のない食道癌の非癌部メチル化値と比して有意に低かった(p=0.042)。喫煙歴・飲酒歴などによる正常食道粘膜のメチル化低下は、発癌のfieldを形成し、多発癌の発生過程に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

我々は以前より食道癌の発癌には喫煙と飲酒が強く関連していることは証明していたが、今回の研究で喫煙と飲酒による慢性炎症が食道粘膜の染色体不安定性をもたらし、p53遺伝子の変異を経由して発癌を生じることを証明した。
これらの研究の結果は、当初より予想していた結果と同等であり、研究は概ね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後は、染色体不安定性から発癌に至るまでの遺伝子異常について研究を継続する。慢性炎症が原因であり、発癌には多くの遺伝子異常が関連していると考えるが、その中でも責任遺伝子として考えているp-21 activated kinaseについて免疫染色で検討し、治療への応用についても研究を継続する。
またFANCJ遺伝子の発現が低いと化学療法の効果が低下する可能性が研究でわかってきており、こちらについても研究を継続する。

次年度使用額が生じた理由

次年度消耗品購入のため。

次年度使用額の使用計画

平成29年度の消耗品費に充当する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] まだら食道と食道多発癌におけるLINE-1メチル化の検討2017

    • 著者名/発表者名
      河野 浩幸
    • 学会等名
      第117回 日本外科学会定期学術集会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜
    • 年月日
      2017-04-27 – 2017-04-29

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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