研究課題/領域番号 |
15K10132
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
菊池 寛利 浜松医科大学, 医学部, 助教 (70397389)
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研究分担者 |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 学長 (00138033)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 消化管間質腫瘍 / マイクロRNA / 肝転移 / 予後予測マーカー |
研究実績の概要 |
1.大腸癌周囲間質におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析 StageII/III大腸癌16症例(無肝転移再発8例、同時性肝転移4例、異時性肝転移4例)の、原発巣切除検体のFFPE検体からLCM法にて腫瘍間質組織を採取し、TaqMan miRNA Arrayを用いてmiRNA 発現パターンを解析したところ、同時性肝転移群と異時性肝転移群+無肝転移再発群の2群に分類された。異時性肝転移群+無肝転移再発群と比較して同時性肝転移群において有意に発現が亢進しているmiRNAとしてmiR-29c、miR-195が。発現が低下しているmiRNAとしてmiR-302a、miR-551b、miR-198などが同定された。In silico解析にて、miR-198の抑制的標的遺伝子の1つとしてtenascin C(TNC)が同定された。139例の前治療歴のない大腸癌原発巣の免疫染色にて、腫瘍周囲間質におけるTNCタンパクの発現強度と同時性肝転移の有無に正の相関を認め、TNC高発現は独立予後不良因子であった。原発巣139例および肝転移巣83例の比較では、肝転移巣の腫瘍周囲間質でTNCタンパクが高発現であった。本研究により、大腸癌原発巣の腫瘍周囲間質におけるmiRNA発現変化により発現が亢進し、肝転移形成過程で重要な役割を果たしているタンパクとしてTNCが同定され、予後予測マーカーや治療標的として期待される。
2.GIST におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析 胃GIST原発巣と肝転移巣におけるmiRNA 発現を比較検討したところ、原発巣と比較し肝転移巣で最も発現が高いmiRNA は、miR-122 であった。発現が低下しているmiRNAとしてmiR-133bが同定され、原発巣に比べ肝転移巣で、miR-133bの抑制的ターゲットのfascin-1タンパクの発現亢進を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「大腸癌周囲間質におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析」および「GIST におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析」ともに、概ね当初の計画通りに研究が進展しており、学会発表や論文投稿などを行っている。
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今後の研究の推進方策 |
「大腸癌周囲間質におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析」および「GIST におけるmiRNA 発現変化を介した肝転移機構の解析」ともに、当初の計画通りまたは計画に修正を加え推進していく予定である。 研究成果は英文誌への投稿や、国内外の学会発表によって公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね計画通り進行しているが、予定した研究の一部を次年度に行う予定となったことや、他の研究費で購入した試薬等を一部使用可能であったことなどにより、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
当初計画していた研究は予定通り次年度に行う見込みであり、これに伴い翌年度文として請求した助成金と合わせて使用する計画である。
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