研究課題/領域番号 |
15K10134
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
藤川 裕之 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (40616091)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (00422824)
井上 靖浩 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (20324535)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50192026)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 腹膜播種 / 肝転移 / microRNA |
研究実績の概要 |
本研究は、大腸癌腹膜播種患者の血清ならびに腹水中microRNAの網羅的解析を行い、腹膜播種と密に関与するmicroRNA関連候補を同定し、予後との関連を検討する。これは、大腸癌腹膜播種の新たな診断法を確立することにより、腹膜播種高リスク群を抽出し、新たな治療戦略の構築、腹膜播種患者の予後・QOLの向上を目指すことを目的とする。 昨年度は上皮間葉移行に関わるmicroRNAのひとつであるmiR203は肝転移巣で原発巣に比べて有意に発現が高く、in situ hybridisationでその再現性を確認した。次に大腸癌患者の血清を用いて血清中miR203の発現を検討した。術前血清miR203レベルは各種転移(肝転移、腹膜播種、リンパ節転移)を有する患者を高率に識別可能であった。さらにマウスを用いた肝転移、全身転移モデルでの検証において転移を有するマウスはコントロールのマウスに比べて血清中miR203の発現が有意に高く、その発現レベルは転移腫瘍ボリュームと有意に正の相関を示した。以上より、転移巣由来の血清miR203は腹膜播種を含む遠隔転移マーカーとなり得ることを示した。 本年度はmicroRNA arrayならびに公共データーベースを用いて転移巣で有意に発現の高いmiR-139-5pに着目して、大腸癌組織、大腸癌患者血清、ならびにmiR-139-5pのin vivoにおける機能解析を行った。その結果、大腸癌組織のmiR-139-5pの発現は予後を規定し血清においてもその発現は高く再発ならびに予後を規定する因子であった。また、miR-139-5p高発現大腸癌細胞株はマウスモデルにおいて腹膜播種を形成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究においては転移巣で発現の高い網羅的microRNA解析からmiR-139-5pを同定し、臨床サンプル(大腸癌組織、大腸癌患者血清)ならびにマウスモデルにてmiR-139-5pが有望な転移関連遺伝子、特に腹膜播種に重要な遺伝子であることを示したことを論文報告しており計画通り研究は進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
複数の同定した腹膜転移関連microRNAを利用した前向きな腹膜播種同定能を今後検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画通りに実験が進み結果が得られたため残高が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の候補microRNAの腹膜播種転移同定能を前向きに評価するために、試薬購入費として利用する。
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