研究課題/領域番号 |
15K10135
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
大北 喜基 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20378342)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00422824)
楠 正人 三重大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50192026)
荒木 俊光 三重大学, 医学部附属病院, 講師 (70343217)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 癌 |
研究実績の概要 |
本研究は炎症性腸疾患における炎症性発癌のメカニズムをエピゲノムの観点から解明し、有用なマーカーを見出すことにより、現在行われている癌化サーベイランスプログラムより、さらに安全で確実な検出方法を確立することを目的としている。 大腸癌組織で高度にメチル化されているmicroRNAs(-1、-9、-124、-137、-34b/c)に着目し、潰瘍性大腸炎粘膜におけるメチル化状態を評価し、臨床病理学的因子ならびに発癌との関連を検討した。潰瘍性大腸炎粘膜非癌部、DysplasiaならびColitic CancerからDNAを抽出、パイロシークエンス法でmicroRNAsのメチル化レベルを測定した。Colitic Cancerを合併している直腸粘膜非癌部のmiR-1、-9、-124、-137、-34b/cメチル化レベルは、合併していない直腸粘膜非癌部に比べ有意に高値であった。ROC解析ではそれぞれのメチル化レベルは高率にColitic Cancer患者を同定できた。5つのmicroRNAメチル化レベルのcombination ROC解析では、Colitic Cancer患者を高率に同定できた。直腸粘膜非癌部のmiR-137高メチル群は独立したColitic Cancer同定因子であった。以上の結果を国内外の学会で発表し、論文投稿予定である。 また当科でこれまで経験した痔瘻癌合併クローン病患者の3例を対象とし、研究を進めている。各々の肛門管における癌部と非癌部を病理学的に検討し、マイクロダイセクションを行い、RNAを抽出した。これらのサンプルを用いてmiRNA arrayを施行し、網羅的に痔瘻癌関連miRNAを検索した。この解析により発現量が2倍かつ有意差のあるmiRNAを同定している。今後はmiRNAの絞り込みを行いtarget miRNAの同定を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肛門管における癌部と非癌部をmiRNA arrayにより比較した研究では、有用な結果を得ることができる見込みである。研究の妥当性が示され、今後も計画通りに進行するものと予想される。
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今後の研究の推進方策 |
クローン病の術前血清を用い、網羅的miRNA arrayを行い、癌合併患者で非合併患者に比べ有意に発現の高い血清miRNAを選択する。肛門管粘膜および血清から得たmiRNAで共通するものをクローン病悪性新生物から分泌される候補miRNAとして、サーベイランス内視鏡が行われた症例における血清を用い、クローン病癌化ハイリスク症例の選別が可能か評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実支出額の累計額はほぼ計画通りであったが、未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、次年度に充てる予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額に関しては試薬や実験器具などの物品費の一部に使用する予定である。
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