研究課題/領域番号 |
15K10137
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
三宅 亨 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70581924)
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研究分担者 |
北村 直美 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (30572474)
谷 眞至 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (60236677)
清水 智治 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (70402708)
目片 英治 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (80314152)
村田 聡 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (90239525)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍免疫 / 免疫細胞治療 / OX40補助刺激 |
研究実績の概要 |
〈癌抗原特異的CTL の樹立と移入された担癌生体内での機能維持〉 1)マウスT細胞を腫瘍抗原ペプチドと抗OX40抗体と7日間共培養しOX40 補助刺激を受けた腫瘍抗原特異的CTL は、OX40補助刺激受けなかった腫瘍抗原特異的CTLと比較すると、分裂回数は少なく、分化が早期のエフェクターT細胞であり、抗アポトーシス因子を多く発現していた。これらの腫瘍抗原特異的CTLを、レシピエント担癌マウスへ養子移入すると、OX40補助刺激を受けたCTLは、担癌生体内で、分裂能を有し、腫瘍抗原特異的CTL機能を長期間維持し、完全に腫瘍を退縮させ、メモリーエフェクターT細胞となった。しかし、OX40補助刺激を受けていないCTLは、担癌生体内では、分裂能を失い、腫瘍抗原特異的CTLも有意に少なく、担癌マウス腫瘍は増大した。 以上から、腫瘍抗原特異的CTLを樹立する際にOX40補助刺激を行うことは、担癌生体内へ移入されてからも腫瘍抗原特異的CTLが長期間にわたり抗腫瘍免疫機能維持が可能で、腫瘍拒絶も得ることがことができる有用な方法であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Wild type マウスからの腫瘍抗原特異的CTLの樹立とCTL細胞治療であり、腫瘍抗原特異的CTLの数が予想以上に少なかったため、一度に多くのマウスへの細胞移入ができなかった。従って、実験を多数繰り返す必要が生じ、多くの時間が必要であった。このため、免疫寛容マウスを用いた研究にまで進むことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
OX40補助刺激を受けたCTLの養子細胞治療が、免疫トレランス状態を打ち破ってその機能が維持され、腫瘍退縮などの抗腫瘍効果を発揮することを確かめるため、免疫寛容マウスモデル(HER2/neu transgenic mouse (neu-N))を用いて抗腫瘍免疫効果を実験する。その後、腫瘍抗原特異的な免疫トレランス状態に移入されたCTLの動向を、CSFEでマーキングしたCTLを用いて、脾臓と腫瘍局所で観察する。また、mB7-DC-Fc と共培養し、mB7-DC に補助刺激されたヘルパーT細胞等の影響を受けて誘導されたCTL を、レシピエント担癌マウスへ養子移入し、mB7-DC-FcのCTLへの免疫効果を観察する。次に、脾細胞からT細胞を採取した後、LAP 吸着カラムに通して、TGF-βを産生する免疫抑制性の細胞を除去した後、腫瘍抗原ペプチドと共培養し、CTL を誘導して、レシピエント担癌マウスへ養子移入し、LAP 吸着カラムのCTLへの免疫効果を観察する、さらに、LAP 吸着カラムに通過させ、TGF-βを産生する免疫抑制性細胞を除去後、腫瘍抗原ペプチドと抗OX40 抗体とmB7-DC-Fc とを共培養し、CTL を誘導して、レシピエント担癌マウスへ養子移入し、抗腫瘍効果と移入した腫瘍抗原特異的CTL の担癌生体内での機能維持が、最も優れているかどうかを調べる。 臨床応用のために、大腸癌患者末梢血から、癌抗原ペプチドと抗OX40 抗体、mB7-DC-Fc、LAP 吸着カラムを用いて、癌抗原ペプチド特異的CTL が誘導し、大腸癌細胞株や、患者から切除された大腸癌細胞に対して、抗腫瘍効果を示すことを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
腫瘍抗原特異的CTLの誘導を細胞内サイトカイン染色により測定するための試薬(抗INF-γ抗体、抗CD8抗体など)の本年度使用量を節約でき、追加購入量を減らすことができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
免疫学的評価のための各種抗体試薬の購入、治療のための各種治療抗体の購入、実験動物購入、実験動物飼育費、各種培養試薬購入などに使用する予定です。
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