研究課題/領域番号 |
15K10147
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
辻仲 眞康 自治医科大学, 医学部, 講師 (10338923)
|
研究分担者 |
鈴木 浩一 自治医科大学, 医学部, 講師 (70332369)
力山 敏樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (80343060)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 上皮間葉系移行 / 転移のメカニズム / 腫瘍内不均一性 |
研究実績の概要 |
遺伝子発現マイクロアレイを使い、中心部、先進部、転移巣の3群に分け分散分析を行ったところ、7920プローブの発現に有意差があった。EMT関連遺伝子であるzinc-finger E-box-binding homeobox(ZEB)1の発現が中心部や転移巣と比較し、先進部で有意に高値であることが明らかになった(p<0.01)。個体差によるバイアスを除外するため、先進部の発現を中心部の発現で補正した比を用いた解析も行った。転移の有無で2群に分け、有意差があった1512プローブに対し分子間ネットワーク解析を行うと、EMTを誘導すると考えられているVEGFシグナル伝達経路やWntシグナル伝達経路などに関連する遺伝子が転移を有する癌の先進部で上昇していることが明らかになった。 リアルタイムPCR法を用いZEB1発現の腫瘍内不均一性を確認し、さらに中心部と先進部の発現を転移の有無によっても分類し、4群に分け比較検討した。ZEB1の先進部での発現は転移を有する癌で転移のない癌の先進部よりも高い発現を示す傾向(p=0.083)があったが、中心部の発現には転移の有無による差はほとんどなかった。 免疫組織化学ではZEBタンパクの不均一な発現が確認できたが、転移との関係を示すことはできなかった。病理学的特徴、免疫組織化学と転移の関係について単変量解析を行うと深達度、組織型、Eカドヘリン細胞質の染色、E-カドヘリン細胞質の濃染の4因子が転移と関係した。多変量解析では深達度、Eカドヘリン細胞質の染色の2因子が独立して有意に影響する因子として同定できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の実験計画としてはEMT促進遺伝子および、関連遺伝子の腫瘍内発現分布の不均一性の検証と臨床病理学的特徴の検討を予定していました。 【免疫組織染色】以下の蛋白発現を検討し、腫瘍内不均一性を確認しました。EMT促進遺伝子であるVEGFシグナル。EMT関連遺伝子SNAIL、ZEB、TWIST。接着因子 E-cadherin 【発現解析】免疫組織染色で検討した遺伝子の発現解析を行いました。その結果、腫瘍先進部では中央部に比較しEMT促進遺伝子であるWnt(b-catenin)およびVEGFの発現が高く、その先進部の一部分にEMT関連遺伝子の発現が認められる事を確認しました。 【臨床病理学的特徴の検討】病理学的特徴、免疫組織化学と転移の関係について単変量解析を行うと深達度、組織型、Eカドヘリン細胞質の染色、E-カドヘリン細胞質の濃染の4因子が転移との関係を認めました。多変量解析では深達度、Eカドヘリン細胞質の染色の2因子が独立して有意に影響する因子として同定できました。
|
今後の研究の推進方策 |
1,EMTに関わるmicroRNA、mRNAの血中モニタリング microRNAの血中モニタリング:SNAIL、ZEBを制御しているmiR-21とmiR-200。 EMT関連遺伝子のmRNAの血中モニタリングし、microRNAの発現との相関性を検証します。 2,血中遊離癌細胞からのEMT関連蛋白の検出と全ゲノム解析(全ゲノムプロファイルの比較)を行います。
|
次年度使用額が生じた理由 |
年度末支払い調整のため、次年度繰越
|
次年度使用額の使用計画 |
消耗品購入に使用
|