研究課題/領域番号 |
15K10153
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
川村 純一郎 近畿大学, 医学部, 講師 (90422948)
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研究分担者 |
杉浦 史哲 近畿大学, 医学部附属病院, 講師 (10580631)
奥野 清隆 近畿大学, 医学部, 教授 (30169239)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 術後補助療法 / ペプチドワクチン |
研究実績の概要 |
ステージIII 大腸癌根治術後患者に対するUFT/UZEL 併用ペプチドワクチン療法の臨床的有効性、安全性を解析する第II 相臨床研究である。StageIII大腸癌の術後に2種類のHLA-A*2402拘束性ペプチド(RNF43, TOMM34)とUFT/LV(4週投与、1週休薬)を6コース施行しする。症例集積後、HLA key openによりnatural randomizationを行う。主要評価項目は無再発生存期間(1yr, 3yrRFS)、副次的評価項目は、全生存期間(OS)、安全性、実行可能性、臨床検査値異常変動を含むすべての有害事象。また、HLA-A*2402陽性群におけるCTL反応を検討する。治療完了総数110 例を予定していたが症例集積が困難であったため、46例症例登録の時点で全登録症例のHLA key openを行った。44例に加療が実施され、HLA-A*2402陽性群28例、陰性群16例であった。両群間の背景因子(年齢、性別、投与回数、原発部位)に差を認めなかった。ステージIIIb症例の割合は、陽性群16例(57%)、陰性群3例(19%)と有意に陰性群で少なかった(p=0.0134)。ステージIIIa症例における1ys RFSは陽性群/陰性群で100%/91.6%、3yrDFSは91.6%/83.3% (HR=0.457, 95%CI(0.021-4.77), p=0.515)であった。ステージIIIb症例における1ys RFSは陽性群/陰性群で81.2%/66.7%、3yrDFSは61.8%/33.3% (HR=0.596, 95%CI(0.143-4.02), p=0.540)であった。OSは両群間で統計学的有意差を認めなかった。再発中止の3例を除いた全例で予定通りの6コースを遂行することが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研修課題はおおむね順調に進んでいると考える。特に登録患者の大部分は、重篤な有害事象なく安全に経過しており、当療法の安全性を再確認している。ただし、登録に関して予定症例数に達することは困難であり、症例数を減らして評価を行うこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
がんペプチドワクチンの作用機序を考えれば、本療法の最適な対象は術後の再発予防であると考えられる。しかし、手術単独、UFT/LV療法による治療成績が良好なStageIIIaでは、ペプチドワクチンの上乗せ効果は期待できない可能性がある。今後、サブグループ解析により、ペプチドワクチン良好群の抽出を行う。またHLA-A*2402陽性群におけるCTL反応を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規登録症例が少なかったため、当初予定していたペプチド及びペプチドをエマルジョンするためのアジュヴァントの購入費が抑えられたことが大きな理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
今度、患者の末梢リンパ球の表面抗原解析(制御制T細胞やメモリ-T細胞など)、治療前切除標本の主要細胞における腫瘍抗原/HLA-classIの発現ならびに主要浸潤リンパ球サブセットの解析等へ費用を充当する。また本研究結果の学会での発表が予定されており、論文作成含め研究結果のまとめ作業に費用を使用する予定である。
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