研究実績の概要 |
ステージIII 大腸癌根治術後患者に対するUFT/UZEL 併用ペプチドワクチン療法の臨床的有効性、安全性を解析する第II 相臨床研究である。StageIII大腸癌の術後に2種類のHLA-A24拘束性ペプチド(RNF43, TOMM34)とUFT/LV(4週投与、1週休薬)を6コース施行する。主要評価項目は無再発生存期間(1yr, 3yrRFS)、副次的評価項目は、全生存期間(OS)・安全性等とした。さらに、HLA-A24陽性・陰性群におけるCTL反応と予後との相関を検討した。46例中44例に加療が実施され、HLA-A24陽性群28例・陰性群16例であった。両群間の背景因子(年齢・性別・投与回数・原発部位)に差を認めなかった。ステージIIIa症例における3yrDFSは陽性群/陰性群で91.6%/83.3% (HR=0.457, 95%CI(0.021-4.77), p=0.515)であった。ステージIIIb症例の3yrDFSは陽性群/陰性群で61.8%/33.3% (HR=0.596, 95%CI(0.143-4.02), p=0.540)であった。OSは両群間で統計学的有意差を認めなかった。CTL反応評価可能な35例の内訳は、HLA-A24陽性群23例・陰性群12例であった。HLA-A24陽性群では、2クール終了後CTL反応陽性が14例、陰性が9例で、CTL陽性群/陰性群における3yrRFSは85.7%/33.3% [HR=0.16, 95%CI (0.034-0.58), p=0.0050]でCTL反応陽性群が陰性群に比べて有意に予後良好であった。また、HLA-A24陰性群では、2クール終了後CTL反応陽性が10例、陰性が2例で、CTL陽性群における3yrRFSは90%であった。ペプチドワクチン投与後のCTL反応は、治療効果を予測する良い指標になることが明らかとなった。
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