研究課題
血液中のmiRNAは、がんを含め多くの疾患でバイオマーカーとしての有効性が示されている。遺伝性疾患においては原因遺伝子が存在しており、その遺伝子変異に伴い血液中のmiRNAが大きく変化することが予想される。遺伝性疾患であるFAPにおいて、血液中のmiRNAがFAPの有無、大腸病変、大腸外の随伴病変のバイオマーカーとなるかを検討した。FAP患者5名(年齢22~56歳、大腸腺腫と胃腺腫は5名全員にあり。1名は早期大腸癌併発。2名は十二指腸腺腫併発。デスモイドは全例無し。全例大腸全摘前で大腸残存ありの状況)と健常者3名から血液を採取。血漿を分離して、次世代シークエンサーを用いてmiRNAを網羅的に解析した。FAP患者と健常者の間で有意に変化しているmiRNAを抽出しバイオマーカー候補とした。FAP患者と健常者の血漿中で発現量に差があるmiRNAとして、miR143-5p(発現量7.6倍増加)、miR143-3p(発現量6.2倍増加)mir96-5p (10.9倍発現量増加)、 mir183-5p (2.9倍発現量増加)、mir8855p(8分の1に発現量減少)などが候補として抽出された。このうちで143-3pは血漿中のマイクロRNA量が多く、Tumor suppressor miRNAとされること、FAP患者の大腸腺腫で減少しているとの報告があることから最も有力なバイオマーカーとなることが期待された。Validationとして次にmir-143の定量的PCRを行っているが、NGSを行った5人のサンプルでは2例が測定出来ず。3例ではコントロールに比べて0.76倍~1.9倍と予想されたような差を認めることが出来なかった。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Cancer Science
巻: 108 ページ: 243-249
10.1111/cas.13123.