研究課題
消化器癌細胞におけるDNAの脱メチル化機構に関わるジェネティックおよびエピジェネティックな異常の発見と生物学的悪性度の関連を検討することが当研究の目的である。今年度は当施設で行った大腸癌手術約500件のうち、200例以上から患者側より研究のための試料提供に関する同意をいただき、切除標本の癌部、非癌部から凍結切片を採取してDNA,RNAの抽出を行った。それらを順次、次世代型シーケンサーによる全exon解析しdata蓄積を行っているところである。またDNAはマイクロアレイによる全遺伝子発現解析を行いdata蓄積しているところである。一方、共同研究施設である熊本大学の食道扁平上皮癌切除症例のうち凍結切片77例から抽出したDNAとRNAを用いて5-hmCの定量とTET酵素群の発現を定量した。すると癌部の5-hmC発現レベルは非癌部よりも有意に低いことが判明した(P<0.0001 by paired t-test)。またTET1とTET3の発現量は癌部と非癌部で有意差がなかったが、TET2では非癌部に比べ癌部での発現量が有意に低値であった(P < 0.0001)。また、5-hmCとTET酵素群の発現量の相関関係について解析した結果、TET1とTET3はそれぞれP = 0.306、P = 0.927で有意な相関関係は認めなかった。一方、TET2はP = 0.003で有意な相関関係を認めた。これらの結果はOncotargetという癌研究分野の一流誌に既に掲載された。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)
Ann Surg Oncol
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