研究課題/領域番号 |
15K10161
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
藤井 努 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60566967)
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研究分担者 |
神田 光郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00644668)
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10345879)
山田 豪 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30467287)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 肝硬変モデル / ラット / DEN / Erlotinib |
研究実績の概要 |
1.研究代表者らは近年、動物モデルにおいて上皮成長因子受容体(Epidermal Growth Factor Receptor; EGFR)阻害剤による肝硬変抑制効果を確認し報告した(Fuchs BC, Fujii T (equally contributed) et al, Hepatology 2014)。本研究ではこの現象の機序を具体的に解明するとともに、ヒトで肝の硬変化を抑制するという新たな視点からの治療法の構築・開発を目指すものである。 2.当該年度では、以下の2点の研究を実施した。(1)ラットにおける肝硬変抑制モデルの作成と肝臓の摘出(2)遺伝子学的背景の解明 3.ラットにおける肝硬変抑制モデルの作成と肝臓の摘出 ラットにDiethylnitrosamine (DEN)の腹腔内投与を週1回、18週間行い、肝障害モデルを作成した。さらにそれらを以下のように3群に分けた。Control群(PBSのみ週1回腹腔内投与)、低濃度Erlotinib群(0.5 mg/kgを腹腔内投与、13-18週の毎日)、高濃度Erlotinib群(2 mg/kgを腹腔内投与、13-18週の毎日)。1週間のDEN wash out後に肝臓を摘出し、一部を-80℃保存、一部を10%ホルマリン固定とした。 4.遺伝子学的背景の解明 摘出肝臓より蛋白およびmRNAを抽出した。mRNA抽出はRNeasy Kit (Qiagen)、蛋白抽出はRIPA bufferにより行った。これらにおいて、Western blot法および定量PCR法により、p-ERKなどのEGFR-RAS-MAPKシグナル伝達系遺伝子を解析している。研究計画では免疫染色により蛋白発現を検討予定であったが、これは今後施行予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遺伝子学的背景の部分において、研究計画では免疫染色まで完遂する予定であったが、そこまでは達成できなかった。研究の開始段階であるラットの肝硬変抑制モデルの作成に時間を要した。このモデルの作成には最短で約5ヶ月を要するが、動物の購入・搬入に時間を要したことと、モデルの作成を再度施行せざるを得なかったことが理由である。そのため、その後の遺伝子発現の検討がまだ施行中の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画通りに施行していく予定である。つまり、遺伝子学的背景の解明を免疫染色まで完遂し、その後にHepatic Stellate Cell(HSC)のマーカー(α-SMA、Desmin、GFAP)の発現の検討、HSCの単離培養と、Erlotinibによる遺伝子発現の検討、と研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画が予定より少し遅れたため、予定されていた金額まで使用できなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、次年度も予定通り研究計画通りに施行していく予定であるので、次年度に使用できると考えている。
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