研究課題
1.研究開始当初の背景:肝細胞がん根治切除後の転移再発を予防する方法は未確立であり、転移再発の機序解明と、それに基づいた補助療法の開発が急務である。2.研究の目的:肝細胞がん特異的な循環腫瘍細胞 (Circulating Tumor Cell; CTC) の検出法を確立し、肝細胞がんの転移再発を正確に予見するシステムを構築すること、免疫系遺伝子多型解析に基づいて、循環腫瘍細胞の制御法を開発することが、本研究の目的である。3.研究の方法:肝細胞癌で特異的に高発現しているGlypican3(GPC3)に着目し、磁気細胞分離システムをもちいたCTC検出法を構築した。全血から密度勾配遠心沈殿法後に抗GPC3モノクローナル抗体および磁気ビーズを用いてpositive selectionによりGPC3陽性細胞を回収し、フローサイトメトリーで検出した。2015年から2016年にHCCに対して初回肝切除を行った88例を対象として、末梢血CTCと臨床病理学的検討を行った。系統切除を行った62例では門脈、肝静脈からもCTC検出を試みた。4.研究成果:HCC88例中53例 (60.2%)でCTC陽性であり、陽性群(n=53)は陰性群(n=35)に比べ有意に腫瘍径が大きく(p=0.002)、被膜浸潤症例が多く(p<0.001)、門脈侵襲陽性例が多かった(p<0.001)。CTC 陽性(p<0.001)、AFP60 ng/ml以上(p=0.012)が独立した門脈侵襲予測因子であった。門脈血中には末梢血や肝静脈血に比べ有意に多くのCTCが検出された。CTC陽性例の術後再発は有意に高率で、CTC陽性は無再発生存の独立した危険因子であった(p=0.029)。これらの結果から、GPC3-CTCは門脈侵襲および術後転移再発を反映しており、術後補助療法の合理的な標的と考えられた。
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すべて 雑誌論文 (16件) (うち国際共著 1件、 査読あり 15件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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