研究課題
我々は、オートファジーの制御を利用した肝再生治療実用化を目的として、脂肪肝において70%肝切除時の再生肝を経時的に採取し、細胞周期調節蛋白質CyclinD1の活性、細胞周期S期への移行、血清ALT値などを比較検討することで、オートファジーの役割を明らかにすることができた。電子顕微鏡及びウエスタンブロットによる検討によって、正常肝においてオートファジーは術後1日目をピークに高発現していることが判明した。さらに、オートファジーKOマウスにおいて核の増殖能の低下(BrdU取り込み率の低下)、障害蛋白質の蓄積(p62蛋白質の蓄積)、肝機能の低下(AST/ALT値の上昇、血清アルブミン値の低下)を術後早期に認めた。p21蛋白質に起因する細胞周期の遅延(細胞周期G2やS期の減少、CyclinDの低発現)や、肝組織中ATPの低下、細胞老化(cell senescence)の促進が考えられた。この結果は、脂質代謝異常に基づく脂肪肝・非アルコール性脂肪肝炎における再生時のオートファジーの役割解明につながるとともに、病的肝における再生率回復を図るための重要な基礎実験となった。上記の通り再生肝のオートファジーの役割を明らかにすることができた。具体的には、肝特異的にオートファジー関連遺伝子(Atg5)のノックアウト(KO)マウスを用いることで、肝再生時にオートファジーが核の増殖能の低下(BrdU取り込み率の低下)、障害蛋白質の除去(p62蛋白質)、肝機能の維持(AST/ALT値、血清アルブミン値)に強く関わることが示された。それらの原因として、p21蛋白質に起因する細胞周期の遅延(細胞周期G2やS期の減少、CyclinDの低発現)や、肝組織中ATPの低下、細胞老化(cell senescence)の促進が考えられたことが、、病的肝における再生遅延の機序として深く関わると考えられた。
すべて 2017 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件) 備考 (1件)
J Cell Physiol.
巻: 232 ページ: 2112-2124
10.1002/jcp.25653
Anticancer Res.
巻: 37 ページ: 891-895
J Gastroenterol.
巻: 52 ページ: 986-991
10.1007/s00535-017-1310-9
J Gastroenterol Hepatol
巻: 32 ページ: 1387-1393
10.1111/jgh.13708.
Transplantation
巻: 101 ページ: e20-e25
10.1097/TP.0000000000001533.
http://www.kyudai2geka.com/html/kenkyu/kenkyu.html