研究課題
抗C 型肝炎ウイルス治療により肝炎ウイルスが消失し肝炎が鎮静化した状態、すなわちウイルス学的著効( S V R )を示した後に発生した肝細胞癌のゲノム・エピゲノムの統合解析によりC 型肝炎治癒後肝癌発生の機序を明らかにすることを目的に研究を開始した。約2000例のHCCに対する肝切除手術を行った症例の臨床情報、予後を詳細に検討し研究対象症例の抽出を行った。SVR後に発生した肝癌で再発した症例、SVR後に発生した肝癌で再発していない症例、HCV陽性の肝癌で再発した症例、HCV陽性の肝癌で再発していない症例の合計4グループ、計32症例を抽出した。さらに非肝炎の正常肝組織として胆管癌切除症例の非癌部肝組織、生体肝移植ドナーの正常肝組織を集積した。各症例の凍結組織よりそれぞれゲノムDNA と全RNA を抽出し精製した。これらの症例のDNAよりエピゲノムメチル化解析を行うため、ターゲットメチローム用の鋳型調整を行い、PBAT (post-bisulfite adaptor tagging)法を用いて全ゲノムバイサルファイトシークエンスを行った。バイサルファイト処理を施した全ゲノムDNAを次世代シークエンサーを用いて配列決定し、ゲノム上の全シトシンのメチル化状態(メチローム)を同定した。その結果より二次解析を行った。各症例を、癌部―非癌部、再発癌―非再発癌、活動性C型肝炎併存肝癌―C型肝炎治癒肝癌の群に分けて、全ゲノムのメチル化状態の変化、相違を同定した。次の段階としてSVR 肝癌に特異的なエピゲノム異常およびパスウェイ異常を同定するために次世代シークエンサーを用いてRNAシークエンスを行っている。その結果によって遺伝子発現を調べ、エピゲノム異常と遺伝子発現異常の解析を進め、SVR肝癌の遺伝子異常を統合的に解析している。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件)
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