研究課題
① 肝内胆管癌(混合型肝癌を含む)の症例集積肝内胆管癌の切除症例は肝癌の中では比較的割合が低く、九州大学病院別府病院 外科のみならず九州大学 消化器・総合外科、大阪大学 消化器外科など多数の手術件数を有する複数施設と研究協力を行い、症例集積を行った(10症例)。適格症例としては以下の通りとした。術前診断で肝内胆管癌と診断され、かつ術前画像検査で腫瘤形成型もしくは胆管浸潤型と診断されたもの、おおよそ径3cm以上のもの、腫瘍中心がおおよそ肝内胆管第1分岐より末梢のもの。検体は摘出後すぐに冷凍保存し、その後ゲノム抽出に供された。正常肝組織および複数箇所の腫瘍組織を三次元的に採取しさらに肝内胆管癌は間質成分も多いため、Laser microdissectionの手法を用いて拡大観察を行いながら確実に腫瘍成分のみを採取し、genomic DNA、RNAを抽出した。② 下記(1),(2)の目的の下に次世代シークエンサーIllmina HiSeq 2000プラットフォームを使用し、抽出したDNA、RNAを用いて網羅的な全エキソームシークエンシングおよびRNA シークエンシングを行った。(1)全エキソームシークエンシング→塩基変化(遺伝子変異、コピー数変化)の同定(2)全トランスクリプトームシークエンシング→異常転写産物の同定平成27年度については6症例40ヶ所につきシーケンシングが終了し、解析に取りかかっている段階である。
2: おおむね順調に進展している
申請時の予定におおむね沿い、本年度は本施設および共同研究施設にて肝内胆管癌標本を10症例集積した。申請書記載の方法によりゲノムDNA、RNAを抽出し、うち6例は全エキソームおよび全トランスクリプトームシーケンシングが終了し解析に使用され、残り4例はシーケンス中であり近々解析に使用する見込みとなっている。
データ解析および解析結果の他標本を用いた妥当性の検討を行う予定である。今後さらにPBAT法による網羅的メチル化シークエンシングを行う予定である全エキソームシークエンシングの結果から変異遺伝子とコピー数多型の情報を取得し、それらとRNAシーケンシングから得られたmRNA発現との相関を検討する。メチル化シークエンシングの結果からエピゲノム変化がmRNA発現に関連しているか検討する。解析結果を基に肝内胆管癌の進化系統樹を作成する。樹形図の末梢では腫瘍のクローン進化に伴い多数の異なる遺伝子のプロファイルを有する部分が存在し、これが腫瘍内heterogeneityを表現していると考えられる。また、系統樹の根本にある遺伝子の変化ほど発癌に深く寄与している可能性が高く、有用なバイオマーカーや治療標的となりうる可能性が高いと考えられる。
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