研究課題
①肝内胆管癌の症例集積:肝内胆管癌の切除症例は肝癌の中では比較的割合が低く、九州大学病院別府病院外科のみならず九州大学消化器・総合外科、大阪大学消化器外科、大分県立病院、大分厚生連鶴見病院などと研究協力を行い症例集積を行った。(13症例)適格症例としては術前及び術後検査にて腫瘤形成性もしくは胆管拡張型の肝内胆管癌と診断されたもの、おおよそ径3㎝以上のもの、腫瘍中心がおおよそ肝内胆管第一分岐より末梢のもの、とした。検体は摘出後すぐに冷凍保存しそのゲノム抽出に供された。正常肝組織および複数個所の主要組織を3次元的に採取しさらに肝内胆管癌は間質成分も多いためLaser microdissectionの手法を用いて拡大観察を行いながら確実に腫瘍成分のみを採取しgenomic DNA・RNAを抽出した。②次世代シーケンサーによるシーケンス:次世代シーケンサーIllumina Hiseq 2000プラットフォームを使用し抽出したDNA、RNAを用いて網羅的なエキソームシーケンスおよびRNAシーケンスを行った。全エキソームシーケンスは各遺伝子の塩基配列変化およびコピー数変化を検討することを目的とし、RNAシーケンスは各遺伝子の転写量の定量および異常転写産物の同定を目的とした。13症例70か所につきシーケンスが終了している。③シーケンス結果の解析:シーケンスの結果を東京大学ヒトゲノム解析センターのスーパーコンピュータを用いて解析した。全サンプルにつき遺伝子変異、コピー数変化、遺伝子発現量、異常遺伝子転写産物の同定が終了した。平成30年度においては網羅的解析により各症例における進化系統樹を作成し、その進化の多様性および、治療標的遺伝子の同定を行った。
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