研究課題
本研究の目的は、肝hepatic stellate cell(HCS)と癌周囲の線維芽細胞cancer associated fibroblast (CAF)に着目してこれら間質細胞と肝細胞癌(HCC)におけるC5a-C5aR機構を介した転移・浸潤メカニズムを解析し、tumor-stromal interactionにおけるC5aRの役割について解析することである。1)ヒトHCC切除標本のHSCにおけるC5aRの発現について検討した。HCC切除標本を抗C5aR抗体、抗αSMA抗体でそれぞれ二重蛍光免染し、共焦点顕微鏡で確認したところ、αSMAを発現している細胞に一致してC5aRを発現していることが確認された。2)ヒトHSC細胞株LX2においてC5aRの発現を認めた。ヒトHCC細胞株ではHuH1、HuH7に高発現を認め、HLF、HLEには発現を認めなかった。次に、C5aR発現を有するLX2にrecombinant C5a (rC5a)で刺激したところ、時間依存的にαSMAの発現亢進を認めたことから、C5a-C5aRによりHSCの活性化が起こってることが示唆された。3)ヒトHSCがHCCの浸潤に与える影響について検討した。Invasion assay kitを用いて実験を行った。Chamberの下層にLX2を、上層にC5aRの発現のないHCC細胞株(HLF、HLE)をアプライし、下層のLX2をrC5aで刺激したところ、濃度依存的にHCC細胞株の浸潤能が上昇することがわかった。4)LX2をC5aR antagonist(W-54011)と一定時間反応させ、C5aで刺激した後、HCCの浸潤能について検討した結果、W-54011の存在下ではHCC細胞株の浸潤能は亢進しなかった。よってC5aR antagonistはHSCを介したHCCの浸潤能を抑制することがわかった。
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