シロスタゾール溶出性生体吸収ステントの作成は技術的にさらなる時間を要することが判明したため、大動物(ブタ)でのモデル作成(研究計画4)に着手した。全身麻酔下に開腹し、門脈を5cm長露出。ヘパリン3000単位を全身投与し、門脈の中枢と末梢をクランプして2/3周の横切開を加えた。次に横切開部を6-0血管縫合針で5針、結節縫合し、血流を再開。横切開部の末梢側門脈に18Gサーフロー針を刺入し、0.018GWを挿入した。Cアーム透視装置でGWの先端が肝内にあることを確認し、6Fシースを挿入した。シースよりベアメタルステント(8/40mm)を、横切開吻合部をまたぐように留置した。シースより造影し、ステント留置に問題がないことを確認した。 一方、生体吸収ステント留置後の構造変化を観察するため、ミニブタの腸骨動脈に生体吸収ステントと金属ステントを留置し、留置後6ヶ月間、定期的に血管撮影検査と血管内超音波で評価した。4頭施行し、生体吸収ステントのリモデリングが優れていることが示された。金属ステントは6ヶ月間にわたり、ステント内狭窄が経時的に進行したが、生体吸収ステントでは、3ヶ月以降、ステント内狭窄は徐々に軽快していくことが画像上明らかとなった。この結果から、生体吸収ステント留置後、一定期間をシロスタゾール投与にて狭窄を抑制することができれば、一生涯にわたる長期開存が期待できる可能性が示唆された。今後、門脈切離再吻合モデルで生体吸収ステントを留置し、経時的に血管撮影検査により、門脈ステント内狭窄を観察する予定である。
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