研究課題/領域番号 |
15K10177
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研究機関 | 公益財団法人田附興風会 |
研究代表者 |
内田 洋一朗 公益財団法人田附興風会, 医学研究所 第1研究部, 主任研究員 (30597745)
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研究分担者 |
岡島 英明 京都大学, 医学研究科, 准教授 (20308604)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Galectin-9 / クッパー細胞 / 肝虚血再灌流障害 / Tim-3 |
研究実績の概要 |
Galectin-9は好酸球の遊走因子として発見されたレクチンタンパクであり、check point分子の一つであるT-cell Immunoglobulin Mucin-3 (Tim-3)のligandである。作用としては、CD4陽性T細胞の抑制効果・制御性T細胞の誘導・単球からの炎症性サイトカイン産生など、免疫賦活と寛容の二つの側面を有する。 肝虚血再灌流障害(Ischemia and Reperfusion Injury:IRI)においては、虚血再灌流刺激に伴ってGalectin-9が肝組織中に誘導され血中に放出されることにより、再灌流後の肝障害を抑制する事を我々は国際学会誌に報告した (Hirao H, Uchida Y, et al. Liver Transplantation)。 一方で、虚血そして再灌流早期に肝細胞ではない肝非実質細胞にGalectin-9が発現していることを同定し、形態学的にクッパー細胞(肝マクロファージ)と考えられた。クッパー細胞が肝IRIにおいてGalectin-9を産生することで肝障害に対して抑制的に働くのではないかという仮説を掲げ、クッパー細胞が産生するGalectin-9の役割に関しての解明と、TIM-3シグナルによる制御機構につき研究継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
Galectin-9ノックアウトマウスに対してクッパー細胞の消去および再構築を行ない、肝IRIへの影響を検討するのに時間を要している。そのため、Tim-3とGalectin-9の相互作用を解析するためのTim-3変異マウスを用いたvivoおよびvitro実験が遅延している。
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今後の研究の推進方策 |
マウスから採取したクッパー細胞を用いて、Galectin-9産生能を有するクッパー細胞の役割をvivoおよびvitroにて解析を行う。Tim-3変異マウスを用いて肝IRIモデルを作成、リコンビナントGalectin-9投与有無において比較検討し、肝障害制御メカニズムを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) Galectin-9産生能を有するクッパー細胞の役割に関するin vivo実験を中心に行なったために、Tim-3変異マウスでの解析が十分に検討できなかったため。 (使用計画) 得られたサンプルを用いた各種アッセイを行うためのキット・抗体などの購入、vivo/vitro実験で使用するためのリコンビナント製剤や抗体の購入などに使用する予定である。得られた成果を学会などで発表する予定である。
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