<目的>本研究の目的は、膵・消化管神経内分泌腫瘍(gepNET)の同一症例間の原発巣と転移巣のタンパク発現の比較をプロテオミクスにより網羅的に解析し、gepNETの転移関連因子を明らかにすることである。<方法>当科で膵神経内分泌腫瘍(pNET)の膵原発巣と肝転移巣(同時性あるいは異時性)を両方切除したホルマリン固定パラフィン包埋組織から膵原発巣と肝転移巣の腫瘍細胞をレーザーマイクロダイセクション(LMD)により選択的に回収し、LC-MS/MSによるショットガン解析(網羅的解析)でサンプルのペプチドのプロファイルを行う。Mascot algorithm 、Sequest algorithmを介し、Protein date baseに基づき、検出されたペプチドから構成されるタンパクを推測する。DAVID Bioinformatics Resources 6.7で、それぞれのサンプルに発現していたタンパクを群間比較し、発現に差のあるタンパクの候補を絞る(Gene Ontology analysis、Pathways analysisなど)。候補タンパクに関して、当科の切除標本で免疫組織化学を行い腫瘍組織、正常組織での発現の差を検証する。<結果>2000年1月から2014年12月までに当科でpNETと診断された101症例のうち、同時性または異時性に肝転移を伴った症例を17例認め、そのうち、膵原発巣と肝転移巣の標本から十分量のサンプルを回収できた症例が7例あった(NET G2 が4例、NECが3例、ガストリノーマ1例、非機能性6例)。7症例の膵原発巣、膵正常組織、肝転移巣、肝正常組織の計28サンプルに対してLMDを行い、LC-MS/MSでショットガン解析を行った。LC-MS/MSの測定は完了しており、現在転移関連タンパクをin silicoで解析中である。
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