研究課題/領域番号 |
15K10182
|
研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
藤野 和典 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70402716)
|
研究分担者 |
松村 一弘 滋賀医科大学, 医学部, 特任教授 (50378486)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 膵再生 |
研究実績の概要 |
膵臓の広範な外科的切除にともなう膵内外分泌不全患者や毎日のインスリン自己注射が必要な1型糖尿病患者では、膵移植ならびに膵島移植による治療の有用性が報告されている。しかし、日本においての臓器提供者は少なく、移植後も拒絶反応の恐怖と免疫抑制剤の服用からくる感染症のリスクから逃れることは出来ない。肝臓は膵臓と発生学的に近く、申請者はこれまでの研究から門脈血流を遮断することにより、肝内に膵内外分泌細胞が出現することを明らかとした。しかしこれらの細胞塊は未成熟な状態であり、膵機能の再生にはさらなる分化促進因子を遺伝子治療によって加えることが必要と考えている。本申請は、自己の臓器を利用して別の臓器を再生するといった新しい臓器再生法の一つであり、臨床的にも有用な研究であると考えている。
平成26年度は組織標的ペプチドを検索するために、ファージライブラリーキットを用いたin vitro ファージディスプレイを行った。このキットは、ファージの親和性を決定していると言われる先端部に7つのアミノ酸をランダムに発現するように調整されており、このファージを尾静脈より注入した後、肝臓、胆管を取り出した。そしてその両者毎に、より高い結合能を示すペプチドを、その表面に発現したファージのプールを選択的に濃縮することによりそれを増殖させ、更なる濃縮操作に備える作業を繰り返した。同定を行ったアミノ酸配列ををアデノウイルスに挿入したが、肝臓、あるいは胆管の細胞に対する結合性を持つ標的化アデノウイルスベクターは作成できなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
肝臓や胆管に対する結合性を持つ標的化アデノウイルスベクターが作成できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
来年度も肝臓あるいは胆管への結合能を持つアミノ酸配列を同定し、標的化ウイルスベクターを作成し、遺伝子治療による肝臓での膵再生を目指す予定である
|