研究課題/領域番号 |
15K10184
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
村上 義昭 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 准教授 (10263683)
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研究分担者 |
橋本 泰司 広島大学, 病院(医), 病院助教 (50423380) [辞退]
上村 健一郎 広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 講師 (60379873)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | cell-freeDNA / Circulating Tumor Cell / Droplet Digital PCR / K-RAS遺伝子変異 / 膵癌 |
研究実績の概要 |
癌が進行していく過程で循環血液中に放出される腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell)由来のcell-freeDNAから、K-RAS遺伝子変異を検出し、定量化できれば有用な膵癌診断のバイオマーカーになりうるとの仮説の元、研究を進めた。K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAの検出のため、QX100 Droplet Digital PCR(ddPCR)システムを用いた。 根治切除術を受けた膵癌患者105名の周術期血液検体より、K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAの測定を行った。結果、33%の患者においてK-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAが検出され、その患者群は、K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAが検出されなかった患者群に比べ、有意に予後不良であった。このように、K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAの検出のためのddPCRの至適条件については確立できた。 また、K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAは膵癌患者の予後予測因子とし有用なバイオマーカーになりうることが示唆された。 今後、術前治療が必要なBorderline Resectable膵癌患者の選別や、術前化学療法の効果予測因子としての役割にも期待ができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
このように、K-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAの検出のためのddPCRの至適条件については確立でき、今後、術前治療が必要なBorderline Resectable膵癌患者の選別や、術前化学療法の効果予測因子への応用も期待できるため
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今後の研究の推進方策 |
術前治療が必要なBorderline Resectable膵癌患者の選別や、術前化学療法の効果予測因子への応用への方法を確立するため、Borderline Resectable膵癌患者へのK-RAS遺伝子変異を伴うcfDNAの測定を進めていく
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次年度使用額が生じた理由 |
申請は主に試薬や実験器具などの消耗品に重点を置いた研究申請であったが、cell-free DNA抽出方法やKRAS遺伝子変異を特定するためのddPCRシステムの至適条件の確立が、早期に可能であったため、試薬や実験器具などの消耗が少なく、差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、術前化学療法を必要とするBorderline resectable膵癌患者への応用も計画しており、ddPCRシステムの使用頻度のさらなる増加が見込まれるため、それらについて使用予定である。
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