研究課題
本研究の目的は癌間質相互作用により膵癌の悪性度を増強すると考えられる膵星細胞を主体とした間質細胞を抑制する薬剤を同定し、さらに当該薬剤を内包したナノカプセルを用いる新規ドラッグデリバリーシステムを開発することにより効率的に間質細胞を抑制する新たな膵癌治療戦略を開発することである。昨年度までに我々は膵星細胞の活性化にオートファジーが関連し、オートファジーを抑制することで膵癌の浸潤転移が抑制されることを報告した。この事実から膵星細胞のオートファジーが膵癌治療の標的となる可能性が示唆された。また、膵星細胞の活性化の際に細胞質の脂肪滴が減少することは以前から知られている。我々のこれまでの研究においてもオートファジー抑制剤であるクロロキンの投与により膵星細胞の活性化が抑制され、同時に脂肪滴が増加する現象が観察された。この現象に着目して膵星細胞の活性化を抑制する薬剤のスクリーニング法を開発した。具体的には化合物ライブラリーから抽出した化合物群を膵星細胞に投与し、膵星細胞の脂肪滴の増減を脂肪滴の蛍光染色剤であるBODIPYで染色して蛍光の増減で評価を行う方法である。この方法は簡便かつ再現性、安定性が高くハイスループットなスクリーニング系である。この手法を用いてこれまでに膵星細胞の活性化を抑制する可能性がある特定の化合物群を絞り込み、現在それらが癌細胞や膵星細胞および癌間質相互作用に与える影響について詳細に検討を行っている。
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Cancer Letters
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