研究課題/領域番号 |
15K10199
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
水口 義昭 日本医科大学, 医学部, 助教 (70409217)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | TGF-bta1 / microRNA-200 / EMT |
研究実績の概要 |
1昨年度はTGF-beta1によるmiR-200familyの発現上昇がPromorterにTGF/smadが直接作用することによるものであることを確認した。miR-200familyはEMTの進行と深く関与するとされている。そのため、我々はmiR-200familyのターゲット蛋白を同定するために、1)microRNAのターゲットComputer予測ソフトであるTarget Scanを用いて上位にランクされた蛋白の内EMT関連のものをピックアップし、ターゲットとして予想される動きを示す(TGF-beta1投与・miR-200導入により発現が低下する)か否かの実験をすすめている。 1)miR-200のターゲト蛋白候補の内Occuldin, WIPF1を対象にそれぞれmiR-200の3'UTRターゲット配列をサブクローニングしたLuciferase Assayを施行した。そのところ、30-40%でのTGF-beta1/miR-200の投与・導入により発現が抑制し得ることを確認した。しかし、続いて施行したWestern blotによる発現量の検討では、明らかな抑制効果は認めなかった。また、免疫染色にても、各蛋白の発現抑制は認めなかった。これには蛋白の半減期を考慮すると、より長期間での観察が必要な可能性も否定できないが、他の蛋白を検討する必要も示唆された。 培養細胞(HuCCT-1)を用いて、組織修復に伴うEMTの疑似モデルとしてスクラッチアッセイを施行した。無作為にスクラッチした細胞にTGFbeta1を投与してmiR-200bの発現を検討したところ、24時間後にTGF-beta1を加えていない場合より有意にmiR200bの発現が細胞内で上昇していることが確認された。より正確な検討をするため、microdissectionを用いて、損傷周囲の細胞のみでの発現の検討を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
我々の実験計画での、TGF/miR-200シグナルのターゲット蛋白抽出に時間を要している。 コンピューター予測サイトにてmiR-200bに対するターゲット蛋白を上位ランクのものから実験を開始しているが、予測する動きを示すターゲットを同定するに至っていない。各ターゲット蛋白としての確認実験に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
A)ターゲット蛋白の同定:これまで、Target Scanにて上位ランクにあたる蛋白(Occuldinをピックアップし、Western blotやRealtime PCRによりその蛋白がターゲットとなり得るか実験してきた。しかし、われわれが意図するような動態をしめす蛋白は同定出来ていない。一つの蛋白に対しての実験に要する時間・費用が大きく、この方法で実験を遂行していても効果的でないと考える。そこで、DNA microarrayを用いて網羅的な解析を行い、その中からEMT関連で我々の意図している動きを示すターゲットを抽出する方針である。 B)抽出後の研究計画:リコンビナントTGFbeta1投与によるターゲット蛋白抑制の確認。TGF-beta1投与後0-120時間でのターゲット蛋白の抑制を確認する1)western blotting 2)Realtime PCR 3)ターゲット3'UTRサブクローニングLuciferaceアッセイ;mir-200b導入によるターゲット蛋白の抑制の確認。TGF-beta1と同様に実験。免疫染色による抑制効果の確認;TGF-beta1投与により培養細胞内でターゲット蛋白が抑制されていることを確認する。また、それにより細胞のEMT進行がどのように変化し得るかを形態的に確認する。 C)invivoでの効果確認:培養細胞EMTにおけるTGF/mir-200の役割を検討する。スクラッチアッセイを施行しEMTを惹起させるとともに、前述のターゲット蛋白を含めたシグナルが細胞内で機能しているかを検討する。1)Western blot 2)Realtime PCR 3)免疫染色;マウス生体内にて組織損傷(皮膚損傷)モデルを作成し同様に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅延により、以下予定の実験に必要な物品(消耗品)の購入自体が遅延したため。
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次年度使用額の使用計画 |
ターゲット蛋白同定に対し、DNA microArrayを施行する予定としたため、DNA microArray関連消耗品(チップなど)を余剰資金にて購入予定である。
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